質問 Q&A NO.1】 公開日2002.12.03 更新日 2006.03.18   HOMEへ メニューを隠す
このページは、診療中やメールでの患者さんからの質問の返答に説明を追加補充したものです。
このホームページの記事はあくまでも参考に留め、治療方針は診療医師と相談 して決めてください。
次の質問へ【Q55】〜【Q56】
56)【カルシウム】2年前に甲状腺の手術を行いました。指の痙攣が起こるのはカルシウムのせい?  2006.03.18記
55)【動脈硬化】テレビでよくみる「血液サラサラ」の検査はできますか?   2006.03.16記

次の質問へ【Q51】〜【Q54】

54)【入浴】高齢者、心臓病患者、高血圧患者の入浴時の注意点は? 2005.01.20記
53)【心筋梗塞】急性心筋梗塞の死亡率は最近ではどれくらいですか? 2004.11.10記
52)【血圧測定】血圧はなぜ右腕で測るのですか、左右で違いますか、違う場合はどんな病気が考えられますか? 2004.6.15記
51)【検査】診療所でもできる簡単に動脈硬化を測る新しい器械があると聞いたのですが? 2004.6.15記

次の質問へ【Q33】〜【Q50】

50)【くすり】授乳中はどんな薬を飲んではいけないのですか? 2004.4.20記
49)【高血圧】運動で高血圧が治りますか(高血圧の運動療法)? 2004.03.27記
48)【高脂血症】女性はコレステロールが高くても心筋梗塞になりにくいというのは本当ですか?  2004.02.20記
47)【高脂血症】食事と運動でどれだけコレステロールが下がりますか?  2004.02.20記
46)【糖尿病】糖尿病の人はどれくらい心筋梗塞になりやすいのですか?  2003.10.7記
45)【くすり】睡眠薬と安定剤(精神安定剤)はどう違うのですか?  2003.9.04記
44)【くすり】睡眠薬をずっと飲み続けても大丈夫ですか?   2003.9.04記
43)【高血圧】一度高血圧の薬を飲み始めたら一生続けなくてはならないのですか? 2003.9.04記
42)【たばこ】たばこを吸う医師も少なくないし、少しならストレス解消になるので身体にもよいのでは? 2003.9.04記
41)【たばこ】たばこを吸う人は外国に比べて多いのでしょうか? 2003.9.04記
40)【慢性関節リウマチ】「慢性関節リウマチ」の最新治療は?  2003.9.01記
39)【くすり】動悸発作で「胸がきつく」なったので「ニトログリセリン」を使ってよいでしょうか?  2003.9.01記
38)【食事】「心臓病の人は納豆を食べるとよくない」は本当ですか? 2003.9.01記
37)【喫煙】禁煙を勧められるが、なかなかできない。とりあえず、「軽いたばこ」にするつもりです。  2003.9.01記
36)【痛風】尿酸値はどれくらいになればよいのですか?  2003.9.01記
35)【予防】今度の冬にSARSが再流行するかもしれないと言うことですが、対策は?  2003.9.01記 03.9.18追記
34)【検査】今日は食事の後なので、今度朝食抜きで血液検査したい。 2003.9.01記
33)【病気一般】爪で病気がわかると聞いたのですが? 2003.9.01記

【Q01】〜【Q32】

32)【HP】どうして循環器以外も詳しく解説するのですか? 2003.3.27記
31)【高血圧】家庭血圧計が狂っているかどうか知りたいのですが? 2003.3.27記
30)【くすり】私は胃腸が弱いので、高血圧の薬と一緒に胃薬もください? 2003.3.27記
29)【くすり】おじいちゃんには頭痛がないので「バファリン」は飲ませていません? 2003.3.27記
28)【くすり】こむら返りがよくおこるのですが? 2003.3.27記
27)【くすり】漢方薬は長く飲まないと効かない? 2003.3.27記
26)【くすり】漢方薬なら副作用が少ない? 2003.3.27記

25)【高血圧】足がむくむのですが、高血圧のせいでしょうか? 2003.3.27記
24)【くすり】睡眠薬は癖になるので、安定剤がほしいのですが? 2003.3.27記
23)【便秘】お茶や牛乳をしっかり飲んでも便秘がよくならないのですが? 2003.3.27記
22)【睡眠時無呼吸症候群】私は睡眠時無呼吸症候群ではないでしょうか? 2003.3.27記
21)【高血圧】検診で血圧が高いと言われましたが、「自宅では130-140mmHg」ぐらいで高くないので様子をみています。2003.3.27記

20)【高血圧】高血圧の人はグレープフルーツジュースを飲んではいけない? 2003.2.15記
19)【骨粗鬆症】骨粗鬆症検診について   2003.2.03記
18)【心臓病】脈が時々乱れるようなのですが、大丈夫でしょうか ? 2003.2.03記
17)【糖尿病】血糖値はどれくらい高いと糖尿病の可能性がありますか? 2003.2.03記
16)【そのた】前立腺癌のPSA検査について教えてください?  2003.1.20記

15)【高血圧】どの降圧剤が一番優れていますか?
 2003.1.20記
14)【肺炎球菌ワクチン】肺炎ワクチンはどこでできますか?  
13)【肺炎球菌ワクチン】肺炎球菌ワクチンは5年間しか効かないのですか? 2003.01.20記
12)【ホームページ】心臓専門なのに「心臓のことがほとんどない」のはなぜですか?  2002.12.20記
11)【インフルエンザ】予防接種してもインフルエンザになりますか? 2003.01.07記

10)【インフルエンザ】孫がインフルエンザと言われ、急いでインフルエンザ予防接種を受けにきたのですが?
 2003.01.07記 
09)【インフルエンザ】今年はワクチンが効かない新型のインフルエンザがでてきそうだと新聞やテレビで言ってますが、ワクチンは無駄ですか?  2002.12.3記
08)【骨粗鬆症】カルシウムは一日どれくらい摂ったらよいのでしょうか?  2003.01.07記
07)【骨粗鬆症】牛乳の飲み過ぎでカルシウムの摂りすぎになることはありませんか?   2003.01.07記
06)【骨粗鬆症】子宮内膜症や子宮筋腫でリュープリンを長く使うと骨粗鬆症になりやすいと言われたのですが?  2002.12.10記

05)【骨粗鬆症】骨を強くするためにビタミンDを飲んだ方がよいでしょうか?
 2002.12.2記
04)【骨粗鬆症】牛乳が飲めない人は何をたべたらよいでしょうか?  2002.12.2記
03)【骨粗鬆症】牛乳はコレステロールが上昇しそうで、あまり飲みたくないのですが?  2002.12.2記
02)【骨粗鬆症】骨粗鬆症予防のためにカルシウムウエハスはどうでしょうか? 2002.12.2記
01)【味覚障害】味覚がなくなりました。どうしたらよいでしょうか?  2002.12.2記

 


【ホームページ】                      目次へ  前に戻る

Q32:どうして循環器以外も詳しく解説するのですか? 

A:患者さんの病気は複数のことが多く、幅広い知識が「かかりつけ医」に必要と考えるからです。

  かかりつけ医として、患者さんに専門外の相談を受けることは、頻繁にあります。いわゆる「セカンド・オピニオン(他の医師の意見?)」を実際に行えるのは、かかりつけ医だと考えています。自分の手に負えない場合は、交流のある「各科の専門医」に相談します。また、この「必要に迫られて勉強する」という理由以外に、専門以外の勉強は結構面白いものです。

2003.3.27記


【高血圧】                     目次へ  前に戻る

Q31:家庭血圧計が狂っているかどうか知りたいのですが?  

A:水銀血圧計と同時測定が役立ちます。

  Y字管を使って、同じ管の圧を水銀血圧計と同時に測定するのが原理的に最もよいのですが、なかなか面倒で実際やろうとする医師も少ないでしょう。多少の誤差はありますが、左右の腕で「電子血圧計」と「水銀血圧計」での同時測定をお勧めします。さらに、左右を入れ替えてもう一度同時測定を行います。電子血圧計と水銀血圧計のそれぞれの和がほぼ等しければよしとします。このとき同時に測定することと、左右を入れ替えることがポイントです。同じ腕で計っても1回目と2回目の血圧はかなり異なる場合があるので、電子血圧計、水銀血圧計と順番に測定する方法はいけません。

2003.3.27記


【くすり】                     目次へ  前に戻る

Q30:私は胃腸が弱いので、高血圧の薬と一緒に胃薬もください? 

A:降圧剤よる胃腸障害は少ないので、 胃薬は不要です。
  いままで降圧剤のために胃薬が必要となったことは当院ではほとんどありません。処方しているのは胃症状がもともとある人だけです。当院でよく使う薬で、胃症状がでやすいものとしては、鎮痛剤、鉄剤、風邪薬、抗生物質などが代表的です。とくに鎮痛剤は薬剤による胃潰瘍の主な原因となっており、できるだけ使わないか、少量ですませることをお勧めします。鎮痛や解熱目的の座薬や湿布も鎮痛剤を含有し、粘膜や皮膚から吸収されて、胃腸障害をある程度起こすので、これも注意が必要です。

2003.3.27記


【くすり】                    目次へ  前に戻る

Q29:おじいちゃんには頭痛がないので「バファリン」は飲ませていません。 

A:「バファリン81」は頭痛のくすりではありません。

  鎮痛解熱剤としてのバファリンには長い歴史があり、有名です。しかし、現在は鎮痛剤としてよりも、血栓(血液の塊)を予防する薬として、心臓病や脳梗塞の予防に使用されることが多くなっています。鎮痛剤としての「バファリン」は 330mgのアスピリンを含んでいます。

 一方、血栓予防薬としてアスピリンを使う場合はこれよりずっと少量でよいとされています。「バファリン81」は「バファリン」の約1/4のアスピリンしか含まず、鎮痛効果はあまり期待できませんが、血栓予防効果は十分あります。「バファリン81」とほぼ同じ薬剤として「バイアスピリン」などがあります。「バイアスピリン」は100mgのアスピリンを含んでいます。アスピリンの胃障害予防のために、バファリンは酸化マグネシウムを含んでいます。また、バイアスピリンは胃障害予防のために胃の中で溶けず、腸で溶ける腸溶剤になっています。
 ちなみに血小板凝集抑制剤として、ほかには「パナルジン」、「ケタス」、 「プレタール」などがあります。しかし、単に血小板凝集抑制効果だけを期待する場合は、アスピリンを使えない理由がないかぎり、アスピリンを勧めます。理由は価格が何十倍も違うのに、臨床的な効果に差がなく、長期的な経験と研究により安全性が高いと考えられるからです。
 また、参考までに市販の「小児用バファリン」は、2001年までは主成分がアスピリンでしたが、2002年からは小児でも安全に使えるアセトアミノフェンという薬剤が主成分となり、全く違う成分となっています。

2003.3.30記


【くすり】                     目次へ  前に戻る

Q28:こむら返りがよくおこるのですが? 

A:芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)をお勧めします。

  腓腹筋のケイレン(こむら返り)は、筋肉の疲労で起こりやすくなります。 長く歩いたときや激しい運動の後によくおこります。
発作時の対策として、芍薬甘草湯2.5gを3包まとめて飲みます。10〜15分で効いてきます。こんなに速く効く理由はよく分かっていないようです。予防的には運動の前または最中に1〜2包飲んでおきます。面白いことにこの薬は体質も改善するみたいで、半年から2年でこむら返りを起こしやすい体質が変わるようです。

注意事項(副作用)
  「甘草」を成分に含むため、毎日常用を1ヶ月以上続ける と、血液中のカリウムが低下したり、むくみがおこりやすくなります。そのため毎日定期的に飲むのではなく、運動する前や発作時のみに使用する頓服をお勧めします。

2003.3.27記


【くすり】                    目次へ  前に戻る

Q27:漢方薬はながく飲まないと効かないのでは? 

A:漢方薬にも速効性を期待して使うものが多数あります。

  例として、急性熱性疾患に使う「葛根湯(かっこんとう)」、「麻黄湯(まおうとう)」、去痰効果の「清肺湯(せいはいとう)」、咳止めの「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、筋肉ケイレンに使う「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」、食欲増進効果のある「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などは速効性があります。これらの薬は該当する西洋薬がないか、西洋薬よりもずっと優れている面があり、よく使われています。

2003.3.27記


【くすり】                    目次へ  前に戻る

Q26:漢方薬なら副作用が少ない? 

A:漢方薬にも副作用があります。

  漢方薬のなかでもよくある副作用として、「甘草」による「低カリウム血 症」、「むくみ」があります。また、慢性肝炎に多用された「小柴胡湯(しょうさいことう)」は死亡例まででたことで有名です。話は少しずれますが、インターネット などで「糖尿病に効く」、「肥満解消に効く」と宣伝した漢方薬の中に、西洋薬が含まれていることが結構あると聞いています。「生薬からできた 漢方薬は安全」は間違いです。十分な知識をもって使いましょう。漢方薬をインターネットや旅行先で買うのも注意しましょう。

2003.3.27記


【高血圧】                     目次へ  前に戻る

Q25:足がむくむのですが、高血圧のせいでしょうか 

A:腎臓機能障害や心不全もありますが、降圧剤 によるむくみも多いので主治医に相談下さい。

  降圧剤として日本で最も使われている「カルシウム拮抗剤」でしばしば見られる副作用として、足の浮腫(下腿浮腫:かたいふしゅ)があります。薬の量が増えるほど浮腫の頻度が増加します。下腿の浮腫があるかどうか見極めるためには、いわゆる「弁慶の泣きどころ」にある骨の表面近くの皮膚を3秒ほどすこし強く押さえます。くぼみが10秒ほど残るときは「下腿浮腫あり」とします。内服開始から5年以上も経って見られることもあります。また、このとき腎臓機能低下を示す血液検査の異常がなくとも生じます。一度浮腫が生じると浮腫は徐々にひどくなることが多いので、他の薬(お勧めは降圧利尿剤)に変更することを勧めます。

2003.3.27記


【くすり】                     目次へ  前に戻る

Q24:睡眠薬は癖になるので、安定剤がほしいのですが? 

A:睡眠薬と精神安定剤は同じグループの薬です。使い方によって呼び名が異なるだけです。

  30年以上も昔の睡眠薬は、脳全体の働きを抑制するため副作用が強く、多量に内服すると死に至る可能性の高い薬でした。しかし、現在最もよく使われる睡眠薬 と精神安定剤は、両者ともベンゾジアゼピンと呼ばれるグループの薬で、脳の一部の働きしか抑制しないため安全性の高い薬です。
 睡眠薬を飲んで寒い屋外で眠ったような場合や全身麻酔の後などの呼吸が弱い人などは危険ですが、身体に異常がない普通の人では常用量の数倍飲んでも通常命に別状ありません。ただ半日はもうろう状態になります。
  同じベンゾジアゼピン系の中でも睡眠作用が強いものは睡眠薬として利用される機会が多く、睡眠作用は強くないが、抗不安作用が強いものは精神安定剤として使い分けされます。ベンゾジアゼピン系の薬剤が、睡眠薬と安定剤にはっきり分けられるわけではありません。同じ薬剤を睡眠薬として使ったり、不安をおさえるために使ったりします。弱い精神安定剤でも眠気の生じやすい人は、睡眠薬として使えます。

 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は適切に使えば癖になることはあまりありません。長期的な副作用もありません。必要なとき適切な量を使うのであれば、睡眠薬の 長期使用を極度に怖がる必要はないのです。

 ただし、狭隅角緑内障、集中力を要する危険な仕事、足もとがふらつく人、飲酒量が多い人(一時的な健忘症)などは注意が必要ですので、医師と相談下さい。

2003.3.27記


【便秘】                     目次へ  前に戻る

Q23:お茶や牛乳をしっかり飲んでも便秘がよくならないのですが? 

A:緑茶は便秘の原因となるタンニンを多く含んでおり、便秘の人が濃い緑茶を飲むと便秘がひどくなります。
 
タンニンは、現在でも下痢止めの薬として使われています。腸の動きを抑制することにより、下痢を止め、便秘を悪化させます。便秘の人は「水分をたくさん摂りましょう。お茶をしっかり飲みましょう」と勧められ、「緑茶の飲み過ぎ」で便秘が ひどくなった人が少なくありません。便秘の人は、ウーロン茶などタンニンを含まないお茶を飲みましょう。また、乳酸菌飲料は便通をよくしますので、乳酸菌飲料は積極的にとりましょう。
  2003.3.27記


【睡眠時無呼吸症候群】                      目次へ  前に戻る

Q22:私は睡眠時無呼吸症候群ではないでしょうか? 

A:いびきと長い無呼吸(10秒以上)を認める場合は、可能性が高いと考えられます。

  2003年3月の新幹線の居眠り運転から、この病気に対する関心が高まっています。いびきをかく人の10%がこの病気だと言います。患者さんの半数は伴侶にいびきを指摘されたひとです。「昼間の眠気など誰にでもある」と病気の自覚がなく、放置している人が多いのが現状です。ある程度病気が重症の場合には、睡眠中に鼻マスクから空気を送る治療(経鼻的持続陽圧呼吸療法)という治療法がとても効果があります。

 検査には「一晩入院してする精密検査」と「自宅で行う簡易検査」があります。

  なお、「健N的な睡眠がとれているか」をチェックする問診表がこのホームページの「自己検診」欄にあります。一度チェックしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群の自己検診 )。

2003.3.27記


【高血圧】                     目次へ  前に戻る

Q21:検診で血圧が高いと言われましたが、「自宅では 130-140mmHg」と高くないので様子をみています。 

A:正常と言える家庭血圧は125mmHg未満です。 家庭血圧で125〜135mmHgは高血圧の可能性があります。いつも135mmHg以上ある人は高血圧と考えるべきです。

  最近は家庭血圧計が普及し、自宅で血圧測定する人が増えています。家庭血圧は、診療所で測定した血圧よりも日常の血圧を反映していると考えられ、高血圧の診療に欠かせない情報となっています。
  しかし、困ったことに家庭血圧の正常値は調査がまだ不十分で、確立していません。
日本の「高血圧治療ガイドライン2000年版」では、「家庭血圧135/80mmHg以上は高血圧」となります。また、 135/85mmHg以上は要治療と考えられています。一方、1999年WHO-ISHガイドラインの 解説では「125/80mmHg付近の家庭血圧は、診察室での 140/90mmHgに相当する」と言っています。

2003.3.27記

関連記事


【高血圧】                     目次へ  前に戻る

Q20:「高血圧の薬とグレープフルーツジュースを一緒に飲まないように」と言われたのですが 

A:カルシウム拮抗剤というグループの降圧剤は、一部をの除いてグレープフルーツを食べるまたは同ジュースを飲むと、薬を2倍以上飲んだ時と同等の効果がでるので、注意が必要です。

  多くのジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤では、身体で薬が利用される割合(生体利用率)がグレープフルーツジュースで飲んだ場合に大きくなります(平均 2.8倍)。そのため、薬の作用が強くあらわれて、頭痛・顔面紅潮・動悸などの副作用が増加しやすくなります。同様な作用はザボン・土佐文旦・平戸文旦・スイーティーでも可能性があります。しかし、レモン・カボス・温州みかん・オレンジジュースではこのような現象は見られません
 グレープフルーツジュースを飲んでから、影響がなくなるまでの時間は、30分から1日と個人差がとても大きくので一概に言えません。しかし、同じカルシウム拮抗剤でもアムロジピン(商品名:ノルバスク、アムロジピ ン)はほとんど影響がでないと言われれています。またその他の分類の血圧降下剤は全く心配ありません。アムロジピンはグレープフル ーツジュース1杯1回きりならならそれほど気にする必要はないと思いますが、毎日飲む場合は注意がいるかもしれません。なお、今までグレープフルーツによって生じた重症の副作用の報告はないそうです。
  それでもグレープフルーツ大好きという患者さんは影響のない薬に変えてもらうのがよいかもしれません。

2003.2.15記
より詳しい解説


【骨粗鬆症】                      目次へ  前に戻る

Q19:骨粗鬆症検診について  

A:骨粗鬆症対策は若いときからの予防が最重要 ポイントです。カルシウムの多い乳飲料がお勧めです。

 日本の女性は、一生のうちに約50%の人が骨粗鬆症になっています。にも関わらず、ほとんどの人が正確な「骨粗鬆症の知識」を持っていません。腰が曲がり、腰痛や骨折に患わされる高齢者を「歳のせいでしょうがない」と医師すら最近までは考えていました。しかし骨粗鬆症はきちんと知識を持ち、定期的な検査を受けていれば、その大部分は予防できる生活習慣病と考えた方がよいでしょう。
  欧米の高齢者は乳製品をよく摂取するため、カルシウムの摂取量が日本の2倍以上となっています。テレビででてくる一般の欧米の高齢者でも背中が曲がった人はめったにお目にかからないような気がします。
  背骨の骨折による腰の曲がった姿勢や背骨の変形は治すことができません。足の付け根の骨折は寝たきりや死亡の引き金になります。骨粗鬆症では一度骨折するとさらに二度三度と骨折しやすくなります。骨粗鬆症は治すのが大変困難な病気ですが、逆に若いときから食事に注意すれば、多くは予防できます。
 当院では、まだ自覚症状が全くない骨粗鬆症予備軍である閉経以後の女性に骨密度検査を勧めています。超音波による検査ですので身体に無害です。しかも、全身で最も早く骨粗鬆症が起こる踵での検査を行います。検査のあとには食事の指導を行っています。安易なカルシウム補助食品は勧められません。検査の最大の目的は、骨粗鬆症予防の知識を持っていただくことです。精度を肝心の腰椎や大腿の骨密度測定ができないので、超音波による検査を薬物療法を行うかどうかの判断に使うことは、あまりお勧めではありません。

なお当院のホームページでは、骨粗鬆症の「自己健診」詳しい解説を行っています。

興味のある方は一度ごらんになって下さい。
骨粗鬆症に関する十分な知識が得られるはずです。 2003.2.03記

  月刊ぷらざ医療Q&A山口2003.1月号(回答者 まえだ循環器内科)より転載、一部変更。


【心臓病】                        目次へ  前に戻る

Q18:脈が時々乱れるようなのですが、大丈夫でしょうか ? 

A:心臓に構造的な異常のある人とない人で、治療法が異なります。安易に薬物治療(抗不整脈薬)は行わない方がよいとされています。

 不整脈には色々な種類があるのですが、最も頻度の多い不整脈として、心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)と発作性と持続性心房細動(しんぼうさいどう)があります。治療が必要かどうかは不整脈の種類、頻度、症状の程度によりますが、心臓機 能の障害があるかどうかが大切です。また 不整脈の種類や程度を調べるために、24時間の携帯用心電図記録を行うことがあります。心臓機能の障害をみるには心エコー検査が不可欠です。
  発作予防で共通するポイントは、「睡眠不足」、「飲酒」、「カフェイン」、 「喫煙」、「激しい運動」、「肥満」はこれらの不整脈を悪化させるので、薬物治 療を行うときも生活習慣の改善を忘れずに行なうということです。軽症ならこれだけで治ります。ただし、中年以降の不整脈は心臓弁膜症の合併があったり、脳梗塞の原因になることも多く、一度は心臓の専門医で心エコー検査を受けることを勧めます。  2003.2.03記

医療Q&A サンデー山口2002.11.27(回答者 まえだ循環器内科)より転載 一 部追加修正 


【糖尿病】                       目次へ  前に戻る

Q17:血糖値はどれくらい高いと糖尿病の可能性がありますか?

A:空腹時採血と随時採血の場合に分けて考える必要があります。空腹時血糖値は110mg/ml以上、食後2時間血糖値は140mg/dl以上では、糖尿病の可能性が高くなります。

 血糖値は食事の後に上昇するため、朝食前の血糖値とそれ以外に区別した血糖値の基準が必要です。

●空腹時血糖値(朝食前血糖値または食後3時間以上あとの血糖値)

朝食前血糖値の正常値は109mg/dl以下とされています。食後血糖値は食事の量や食事からの経過時間によって値が変化しますが、食後3時間以上経つと空腹時血糖値に近くなります。空腹時血糖値が110mg/dl以上なら、糖尿病の可能性が高くなります。しかし、軽症糖尿病では空腹時血糖値は正常範囲内で、食後血糖値のみが上昇していることが多いので、朝食前血糖値のみで糖尿病を診断していたのでは、多くの軽症糖尿病を見逃してしまいます。

たとえ空腹時血糖値が100mg/dl未満でもOGTT検査を行うと数%の軽症糖尿病患者が発見され、またその数倍の境界型糖尿病があると言われています。一般健診で行われる朝食前血糖値による糖尿病のスクリーニング検査は、感度が低いので糖尿病の早期発見には不向きと言えます。

●食後血糖値(とくに食後2時間血糖値)

 軽症糖尿病を早期に発見するのに簡単な方法として、空腹時血糖値よりも食後2時間後の血糖値を時々調べる方がよいとされています。食後2時間血糖値とOGTT2時間血糖値が比較的よく関係する(相関係数0.617)と の報告があります。食後2時間血糖値が140mg/dl以上なら、 糖尿病を疑います

●OGTT検査

 通常の血糖値検査だけでは、糖尿病と診断できないが糖尿病の疑い(耐糖能異常の疑い)のある人には、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が重要な検査となります。

参考資料

 日本医事新報 2003.2.1号 広島原爆障害対策協議会健康管理センター 伊藤 千賀子

2003.2.03記


【その他】                        目次へ  前に戻る

Q16:前立腺癌のPSA検査について?

A:前立腺癌を早期に発見するスクリーニング検査として行われています。

 早期発見に血液検査が有効な癌の種類は極めてまれです。血液中のPSA検査は 「前立腺癌」の早期発見に利用されています。検査そのものは通常の血液検査と変わらず、普通の診療所でできます。ただし、 PSAが高いとすべて癌と言うわけではありません。50歳以上で、PSA値が4.1ng/ml以上の場合は泌尿器科での精密検査が勧められています。しかし、PSA検査を行うようになっても、前立腺癌による死亡が減っていません。PSA検査による早期発見、早期治療の有効性に関しては疑問視する報告もあるようです。

2003.1.20記 2005.02.14追記

より詳しい解説

 

 
【高血圧】                         目次へ  前に戻る

Q15:どの降圧剤が一番優れていますか?

A:いまだ結論が出ていません。最新の発表 (ALLHAT)の結果から考えてみます。

 いつもよく聞かれる質問です。
「高血圧患者の心血管合併症の抑制効果にどの降圧剤が優れているか」、いろいろな研究がありますが、まだ結論が出ていません。

 つい最近の2002年12月17日に、米国の厚生省の管轄のもとにハイリスクな高血圧の人を対象に行われた「ALLHAT」臨床試験の結果が発表されました。対象数は今まででもっとも多い 42、000人以上、623の施設。
 どの薬を使うかを患者にも医師にも知らせず選ぶ方法(多施設無作為二重盲検試験)というもっとも信頼できる方法での調査です。高血圧治療に関心のある医療関係者は、この結果に高い関心を持っています。

 使われた第一選択薬剤は「降圧利尿剤(クロルタリドン)」、「カルシウム拮抗剤(アムロジピン = 商品名ノルバスク、アムロジン)」、「ACE阻害剤 (リシノプリル)」の3剤です。「α1遮断薬」は成績不良のため、途中で脱落・中止されました。
 血圧が140/90mmHg未満に達成できなければ、他の薬が追加されました(レセルピン、クロニジン、アテノロール、ヒドララジン)。追跡期間は平均4.9年です。

 クロルタリドンを基準にアムロジピンとリシノプリルの有効性を見てみます。
  虚血性心臓病に関しては、3者に差がありませんでした。

 複合心血管疾患(冠動脈疾患+脳卒中+冠血行再建術+入院を要する狭心症+心不全+末梢動脈疾患)の発生率は、リシノプリルでは10%のリスク増加が見られました (統計的に差を認めた)。リシノプリルなどのACE阻害剤は臓器保護作用があり、他 よりも優れた結果が予測されていただけに、やや以外でした。

 この結果が意味するところは、「ACE阻害剤の臓器保護作用よりも、しっかり降圧することが大事ということだ」と解説されました。

 脳卒中の抑制効果は、リシノプリルでは15%のリスク増加が見られました(統計的に差を認めた)。アムロジピンは降圧の程度はむしろ若干弱いにもかかわらず、 7%のリスク減少が見られました。ただし、統計的に差を認めないレベルでした。

 以上から、降圧剤の選択に当たって、「降圧剤の種類 よりも降圧のレベルがもっとも大事である」、「脳卒中の多い日本ではカルシウム拮抗剤が大事な薬剤である」、「価格の安い降圧利尿剤が予想以上に優れている。少量を併用するなど副作用である低カリウム血症など注意しながら使うことが望まれる」など、今回の研究で示されたと言えます。

 ただし、これらは全体的な平均像であって、個々の患者さんの治療においては、例外はいくらでもあると思われます。

参考資料
ALLHAT結果速報 Medical tribune 2003.1.16
ALLHAT=Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Trial

2003.1.20記


    【肺炎球菌ワクチン】                    目次へ  前に戻る

Q14:肺炎の予防接種を勧めるテレビ放送がありましたがどこでできますか?

A:かかりつけの医院でできます。

 実施されている先生はまだ少ないのですが、かかりつけの医院でできます。

肺炎ワクチンは、正確には肺炎の原因となる細菌のなかで最も多い肺炎球菌に対する予防ワクチンです。インフルエンザワクチンとともに肺炎の予防に役立ち、米国では高齢者の約半分がすでに接種しています。
 日本では肺炎ワクチンの存在すらあまり知られておりませんが、今後は徐々に普及するものと思われます。ただし、日本では一生に一回きりの接種しか許可されていません。その効果は5年後にはピークの80%まで低下し、その後徐々に効果が薄れます。
重篤な副作用は極めてまれで、安全です。高齢者は肺炎による死亡リスクが高いので、この予防接種は有用です。 なお、接種料金は全額自費で高く、値段は医療機関によって異なるので注意ください(7000円〜8000円が多い)。

サンデー山口医療Q&A2002.10.30 より転載。回答者 まえだ循環器内科

2003.01.20記


【肺炎球菌ワクチン】                    目次へ  前に戻る

Q13:肺炎球菌ワクチンは5年間しか効かないのですか?

A:5年以上効果があります。

  よく勘違いされるようですが、ワクチンの効果はある日を境に急激に減少するものではありません。

 ワクチンの効果を表す数字として、肺炎球菌に対する血液中の「抗体」という 免疫タンパク質の量を測定します(抗体価)。
  その抗体価の調査によると、ワクチン接種後4週間後にほぼピークに達し、接種後4年後はその90%、5年後は76%(統計学的に明らかに低下)あったとされています。 その後、抗体価は徐々に減少しますが、かなりの長期間効果が持続すると考えられます。

 つまり、5年以上ずっと効果は持続すると考えられ、米国でも65歳で接種した人に2度目の接種を勧めていません。
 また、抗体価のできかたは個人差が大きく、個人個人においては、一概に何年有効という表現は難しいようです。

2003.01.20記
 


【ホームページ】                      目次へ  前に戻る

Q12:心臓の専門医なのに「心臓のことがほとんどない」のはなぜですか?

A:以下でお答えします。

 心臓病は専門だから他の医師も感心するような内容を書きたいと思ったら、内容が 難しくなり、とてもホームページに載せるような内容でなくなりました。それでも 2003年1月からは心臓病に関しての情報をどんどん掲載しようと思います。難しくなったら、ごめんなさい。

 2003.2月現在、充実した内容と簡単な解説の両立がなかなか困難なため、心臓病に関しては簡単な解説と詳しい解説に分けるようにしようと計画しています。 できるだけイラストや動画を入れようとするため、執筆速度は落ちてしまうことをお断りしておきます。
 

2002.12.20記 2003.2.20追記


【インフルエンザ】                    目次へ  前に戻る

Q11:予防接種してもインフルエンザになりますか?


A:年齢によって、インフルエンザ予防接種の効果が異なります。

 まず、インフルエンザ予防接種を受けても、完全には感染を予防できません。

 65歳以上の高齢者ではもともとインフルエンザ罹患率が低いこともあり、予防接種のおかげでインフルエンザにならない人は、半分にしかなりません。しかし、 高齢者では入院が半分になり、死亡が1/5になると言われています。 つまり、高齢者ではインフルエンザで重症になる人が激減するのです。
 一方、若年者ではインフルエンザになる人が1/5に減少すると言われていますが、現在使われている「インフルエンザ予防ワクチン」は乳幼児などの低年齢層では 効果が低いことが分かっています。 では、乳幼児では重症になる人が減るのでしょうか。
 2〜5歳の幼児では日本全体で30〜50人/年の脳炎患者がでますが、予防接種を行った人では脳炎はほとんどなく、入院するような重症も少ないとの報告があります。
  以上から、現行のインフルエンザ予防接種は罹患率を下げる目的というより、重症化を防ぐ効用が重要と言えます。

2003.01.07記

 


【インフルエンザ】                    目次へ  前に戻る

Q10:孫がインフルエンザと言われ、急いでインフルエンザ 予防接種を受けにきたのですが?


A:ワクチンが効き始めるまでには、大人でも 2週間はかかります。

ワクチンが効き始めるまでには、以前にその種のインフルエンザにかかり、基礎免疫をもった方でも2週間はかかります。
最大効果が出るまでには約1ヶ月かかります。 子供さんでは、今年の流行株は A型は昨年と同じなので、昨年ワクチンを受けた方なら、1回でも2週間経てばA型には有効になる可能性が高いと考えられます。 いずれにしろ、今回の流行に間に合うかは疑問です。
  予防接種を受けた後も、お茶でうがいするなどの別の予防方法を併用する必要があるでしょう。

2002.12.20記

 


    【インフルエンザ】                    目次へ  前に戻る

Q9:今年はワクチンが効かない新型のインフルエンザがでてきそうだと新聞やテレビで言ってますが、ワクチンは無駄ですか?


A:この20年は新型が流行せず、過去の経験から いつ新型がでても不思議ではありません。しかし、今年それがおこる根拠は特にありません。

 5年以上前から、ウイルス学者の間では、新型インフルエンザの流行が大きな問題となっています。ひとたび流行すると日本でも死者が3〜4万人はでると言われています。 しかし、これは「関東で大地震がいつおこっても不思議ではない」、「いつかは大地震が起こる」と同類の推測です。 今年に起こる根拠は特にありません。今年日本 で見つかった新型はいずれも過去ある型のマイナーチェンジで、大きな変異は認められていません。

2002.12.3記



【骨粗鬆症】                    目次へ  前に戻る
Q8:カルシウムは一日どれくらい摂ったらよいのでしょうか?

A:骨密度が低下した人は、厚生労働省の勧め る必要量よりも多めに摂りましょう。

 日本人の国民一日あたりの平均カルシウム摂取量は約550mg/日です。厚生労 働省の示す所要量600mg/日を10%下回っています。 また、骨粗鬆症になった人は、カルシウム摂取が標準よりもさらに少ないことが予想されます。 骨量の減少を抑えるのに必要なカルシウム必要量は、閉経後や老年期においては少 なくとも800mg/日以上必要といわれています。 骨粗鬆症治療のためにはさらに多くのカルシウムが必要です。

 一日800mg/日以上のカルシウムを食事から摂るには乳製品を増加させると簡単に可能となります。牛乳1本追加するだけでは約220mg/日しか増加しませんので、2本/日は追加してほしいところですが、すべての人に毎日牛乳2本飲んでもらうのは非現実的だと思われます。そこでお勧めなのが、カルシウムを添加した乳飲料です。1杯で2杯分のカルシウム が含まれ、多くはビタミンDも添加されています。なお、乳製品はカルシウムが多いだけでなく、カルシウムの吸収を助けるタンパクや骨を丈夫にするタンパク質などを含み、骨粗鬆症予防にとても適してます。

 

2003.01.07記


【骨粗鬆症】                      目次へ  前に戻る
Q7:牛乳の飲み過ぎでカルシウムの摂りすぎになることはありませんか?

A:カルシウムの摂りすぎとなる量は日本人の 平均摂取量の4倍以上ですので、まず問題ありません。

 厚生労働省の定めるカルシウム摂取量の許容上限は2500mg/日で、日本人の 平均摂取量の4倍以上です。 米国の勧告(NIH)でも2000mg/日までは安全であるとしています。牛乳に換算すると1日10本以上となるので、食品によるカルシウムの 摂取過剰は、まず心配はありません。 ただし、副甲状腺機能亢進症や腎不全、活性ビタミンD3との併用では、高カルシウム血症が生じる可能性があるので、カルシウム摂取量に注意が必要です。

  また、カルシウム製剤を薬として内服する場合、個人のカルシウム吸収能力を超えてカルシウム剤が投与されると便秘になりやすいため、便秘はカルシウム投与量を減らす目安になります。

  高カルシウム血症をおこす可能性がある場合には、血清カルシウムや尿中カルシウム/クレアチニン比(0.4以上は高カルシウム尿症の目安になる)の検査を年に1〜2回行うことを勧めます。

 以前は尿路結石(シュウ酸カルシウム)はカルシウムの摂りすぎによって、悪化する可能性が言われていました。 しかし、カルシウムの摂取量が増えると腸の中 で、シュウ酸カルシウム結晶となり、シュウ酸は吸収されにくくなります。 現在はカルシウムの摂取量が増えることにより尿路結石が増えることはないと言われていますが、すでにカルシウム結石がある場合は、カルシウムの摂りすぎは注意したほうがよいでしょう。


2003.01.07記


【骨粗鬆症】                    目次へ  前に戻る

Q6:子宮内膜症や子宮筋腫でリュープリンを長く使うと骨粗鬆症になりやすいと言われたのですが?

A:エストロゲンの分泌を強く抑制する薬剤ですので、半年以上使っている場合は骨粗鬆症の注意が必要です。

乳癌、不正出血、生理痛がひどい場合に使われる女性ホルモン抑制剤(リュープリン(武田製薬)、スプレキュア(持田製薬)、ナサニール(山之内製薬))はエストロゲンの分泌を強く抑制し、閉経に近い状態(偽閉経)にします。 そのため、骨粗鬆症のリスクが高くなります。食事に注意し、年に一度くらい骨密度測定の測定も行った方がよいでしょう。


2002.12.10記


【骨粗鬆症】                    目次へ  前に戻る

Q5:骨を強くするためにビタミンDを飲んだ方がよいでしょうか?

A:ビタミンDの効果はあまり高くありません。 一部の乳飲料のなかにも含まれています。

 病院で処方するビタミンD剤の1capは、活性ビタミンD3が0.5μgまたは1.0μgを含有しています。一部の乳飲料の中には ビタミンDを付加したものがあり、100mlあたり0.65μg で、十分効果が期待できる量です。 これらの乳製品を摂っていれば、ビタミンDを薬や補助食品として摂取する必要はありません。ビタミン剤は必要量の2倍とっても、効果が増大するわけではありません。ビタミン剤の効果を過信しないようにしましょう。


2002.12.2記


【骨粗鬆症】                     目次へ  前に戻る

Q4:牛乳が飲めない人は何をたべたらよいでしょうか?

A:乳糖不耐症向けの乳飲料をのむか、小魚(いりこ、しらす)を骨ごとしっかりたべてください。

牛乳を飲むとおなかが痛くなる人の中には、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が 不足している「乳糖不耐症」と呼ばれる人たちがいます。 

この人達は、乳糖を取り除いた乳飲料「アカディ(雪印)」や「カルシウムの多いアカディ」ならおなかが痛くなることが、あまりありません。また、 牛乳はだめだけど、「飲むヨーグルト」なら飲めるひとは、 「カルシウムの多い飲むヨーグルト」を選ぶことができます。

 乳飲料以外では、小魚(いりこ、しらす)がお勧めですが、しらすご飯を一日一回たべるぐらいでは、不十分です。 また、いりこはだしをとるだけでは全く効果がありません。 乳製品も、にぼしなどの小魚も苦手な場合は、豆腐・厚揚げなどの大豆食品をお勧めしますが、十分なカルシウム摂取量にするのは難しいと思います。

2002.12.2記

 


【骨粗鬆症】                    目次へ  前に戻る

Q3:牛乳はコレステロールが上昇しそうで、あまり飲みたくないのですが?

 A:カルシウ ムの多い牛乳(正確には乳飲料)は牛乳と脱脂粉乳の混合物で、脂肪分は多くありま せん。
 
 牛乳に含まれる脂肪は、確かにカロリー摂取の増加につながり、血液中のコレステロール値の上昇を引き起こす可能性があります。 しかし、カルシウムを強化した乳飲料は、 ほとんどが脱脂粉乳と牛乳の混合物であるため、低脂肪、低カロリーです。 特にカルシウムの多い乳飲料は、カルシウム含有量が、牛乳の約2倍あります。つ まり、1杯で2杯分の効果が期待できます。 こちらを選んではいかがでしょうか 。

2002.12.2記


【骨粗鬆症】                    目次へ  前に戻る

Q2:骨粗鬆症予防のためにカルシウムウエハスはどうでしょうか?


A:どうしても乳製品がだめな人の選択枝のひとつですが、吸収率が悪く注意が必要です。

 食品に含まれるカルシウムがすべてが、骨の合成に使われるわけではありませ ん。 無機質のカルシウム単独では、吸収率が低下します。
  牛乳を飲みながら、一緒にたべるか、タンパク質を含む食事と一緒にカルシウムを摂取してください。そうするとカルシウムの吸収率がよくなります。また、 牛 乳、ヨーグルトなどの乳製品は、単にカルシウムが多いだけでなく、カルシウムの吸収、カルシウムの骨への吸着を助けるタンパク質が含まれていますので、できるだけ 乳製品を勧めます。 また、煮干しの小魚をまるごと食べることもとても効果があります。


2002.12.2記


               【味覚障害】                     目次へ  


Q1:最近、味覚がなくなりました。治るでしょうか?

A:現在、内科で降圧剤内服中と のことで、薬剤による亜鉛代謝障害の可能性もあります。治療が遅れると治りにくくなるので、早期に亜鉛剤の内服療法を行うことをすすめます。

 最近、味覚障害の人が増えています。薬剤の影響と加工食品の増加による食事の亜鉛不足が主な原因です。 亜鉛欠乏を起こす可能性のある薬には、 利尿剤、降圧剤、精神安定剤、鎮痛剤、甲状腺治療薬、痛風治療薬、一部の抗生物質 など長期間服用する薬が多いので、注意が必要です。
  亜鉛は身体の酵素の働きに不可欠な微量元素で、不足すると味覚だけでなく、 嗅覚障害も起こすことがあります。 検査では血液中の亜鉛濃度を調べることが大事です。治療には亜鉛欠乏がはっきりしない場合でも、亜鉛の内服が有効です。 亜鉛内服により、発症から6ヶ月以内では70%が改善しますが、1年以上過ぎた場合は50%の改善しかなく、早期治療が大切です。
味覚障害を歳のせいと考えずに、一度診察を受けてはいかがでしょうか。

なお、別のページでもっと詳しい解説をしています。 より詳しい解 説

2002.12.2記