■心房性頻拍による心不全■
カテーテル・アブレーションによって治った頻拍による心不全(2) 

公開日2003.09.30  更新日2003.11.04  左メニューを隠す TOPへ 

左室の縦切り断面(左室長軸断面)
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(2)心不全になった時の心臓:20ヶ月後
 正常な大人の安静時の心拍数は50〜80/分ぐらいです。長い間頻拍が持続すると、心臓の筋肉が弱ってきます。この患者さんは、何年も心拍数が110〜130/分の頻拍が続いてました。
 検査記録中の心拍数は113/分です。この日までβ遮断薬内服中です。左室の内腔はやや大きくなり、左室壁の動きが全体的に低下しています。僧帽弁の閉鎖を支える乳頭筋の働きが弱り、軽度の僧帽弁閉鎖不全症が生じています。心不全による左房内圧の上昇と僧帽弁逆流のため、左房も大きくなっています。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)50mm,収縮末期(最小時)45mm
左室の動きの指標:左室駆出率35%,左室径短縮率10%
左房前後径:38mm(最大時)
画像の心拍数(心臓の動く回数)は、実際とほぼ同じ120/分です。
左の目盛りは10mm間隔です。

 

グラフ:
左室径や左室の動きの経時的変化
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心拍数は120/分です。
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カラードップラー検査
左室が収縮するときには、左室の血液は全身の動脈の大元である大動脈にでます。しかし、心臓の筋肉が弱ると●左室の拡大により乳頭筋と弁の尖端との距離や角度の変化が生じる、●僧帽弁輪が拡大する、●左室の筋肉が弱る(乳頭筋収縮不全)などの影響で、僧帽弁がうまく閉じなくなり、弁逆流が生じます(僧帽弁逆流)。
 こうなると左室から押し出された血液の一部が無駄になるため、心臓の負担はますます増加します。増加した負担のために心臓がますます弱り、心不全は悪化してゆきます。弁逆流の程度も悪化してゆきます。こうして悪循環がおこり、放置しておくと心不全はどんどん悪化します。

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