■心房性頻拍による心不全■
カテーテル・アブレーションによって治った頻拍による心不全
公開日 2003.09.30 更新日2003.10.25 左メニューを隠す TOPへ
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心臓断面の設定
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左室の縦切り断面(左室長軸断面)
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解説
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(1)初診時の心臓
年齢70余歳、155cm 45Kg 小柄な女性。
脈拍を遅くし、心筋保護作用のあるβ遮断薬内服中で、検査記録中の心拍数
は111/分(異所性心房調律)と頻拍です。診察時には120〜130/分に増加します。
左室の内腔の大きさは体格からして正常です。
まだ左室壁の動きは良好で、心不全症状はほとんどありません。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)42mm,収縮末期(最小時)30mm
左室の動きの指標:左室駆出率56%,左室径短縮率29%
左房前後径:28mm(最大時)
グラフ:左室径や左室の動きがどのように変化したかをみる
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(2)心不全になった時の心臓:
20ヶ月後
検査記録中の心拍数は113/分(異所性心房調律)です。β遮断薬内服
中です。左室の内腔はやや大きくなり、また左室壁の動きが全体的に低下していま
す。僧帽弁の閉鎖を支える乳頭筋の働きが弱り、軽度の僧帽弁閉鎖不全症が生じてい
ます。心不全による左房内圧の上昇と僧帽弁逆流のため、左房も大きくなっていま
す。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)50mm,収縮末期(最小時)45mm
左室の動きの指標:左室駆出率35%,左室径短縮率10%
左房前後径:38mm(最大時)
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(3)カテーテル・アブレーションから2週後の心臓:21ヶ月後
内服中の薬剤は、アブレーションにより傷ついた心房の表面に血栓
(血の塊)がつかないようにする少量のアスピリンのみです。検査中の心拍数は
69/分(洞調律)と正常化しています。左室はやや小さくなり、左室全体の動きがよ
くなっています。今後、時間が経つにつれて、徐々にさらに回復すると考えられま
す。僧帽弁逆流がなくなり、左房も小さくなっています。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)46mm,収縮末期(最小時)35mm
左室の動きの指標:左室駆出率51%,左室径短縮率24%
左房前後径:32mm(最大時)
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(2)アブレーション前の心電図(II誘導)
20ヶ月後
1秒間に2回の心房と心室の収縮があります。つまり、心拍数は120回/分で
す。
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(3)アブレーション後の心電図(II誘導)
21ヶ月後
心拍数は68/分に減少しています。
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