■心房性頻拍による心不全■
カテーテル・アブレーションによって治った頻拍による心不全(3) 

公開日2003.09.30  更新日2003.10.25 左メニューを隠す TOPへ 
左室の縦切り断面(左室長軸断面)
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(3)カテーテル・アブレーションから2週後の心臓:21ヶ月後
 心拍数は70/分(洞調律)と正常化し、左室は小さくなり、左室全体の動きがよくなっています。今後も時間が経つにつれて、左室の大きさは小さくなり、動きもさらに回復すると考えられます。また僧帽弁逆流がなくなり、左房も小さくなっています。
内服中の薬剤は、アブレーションにより傷ついた心房の表面に血栓(血の塊)が着かないようにする少量のアスピリンのみです。

心腔の大きさの計測値

左室の短径:拡張末期(最大時)46mm,収縮末期(最小時)35mm
左室の動きの指標:左室駆出率51%,左室径短縮率24%
左房前後径:32mm(最大時)
画像の心拍数(心臓の動く回数)は、実際とほぼ同じ70/分です。
左の目盛りは1cm間隔です。

グラフ:左室径や左室の動きがどのように変化したかをみる

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心電図の心拍数は68/分です。正常洞調律になっています

レントゲンによる透視像
アブレーションの管(上方)と心電図用電極(下方の2本)
 

アブレーション・カテーテルの位置
 足の付け根の静脈(大腿静脈)からカテーテルを挿入します。右房と左房との間にはしきりの膜(心房中隔)がありますが、これを針で刺して穴を開けて焼灼カテーテルを左房へと持って行きます(ブロッケンブロー法)。

心房性頻拍
 この患者さんは、心臓の中の心電図を記録することにより、左房の一部に頻拍の原因となる異常な心筋部位があることが分かりました。

カテーテル・アブレーション(カテーテル焼灼)
 カテーテルとは柔らかい管のことです。 アブレーションは熱で焼くことです。
 カテーテル焼灼は、心臓の中にいろいろな部位の心電図を記録するために、数本(通常3本)の心電図記録用カテーテル電極(ここでは2本)を心臓のいろいろな場所に置きます。

 焼灼用のカテーテルを異常な心筋のある部位(この場合は左房のある部位)に持って行きます。そこでカテーテル通電により60度くらいにまでカテーテル尖端の温度を上げると、その部位の心筋が変性してしまいます。異常心筋だけでなく、その周囲の心筋を変性させることにより、異常心筋からの異常電気信号が伝導してこなくなり、異常な頻拍は起こらなくなりました。

- 資料提供 総合病院山口日赤病院 -