【トピックス(役立つ医学情報-循環器以外編No.11)】 
公開日2006.02.01 更新日2006.02.01  HOMEへ(メニューを表示)  メニューを隠す  
このページは、当院が興味を惹かれた医学情報(必ずしも最新ではありません)を紹介します。
このホームページの記事はあくまでも参考に留め、治療方針は診療医師と相談して決めてください。
72)【インフルエンザ】2005年薬物が無効なインフルエンザウイルスが急増している。    2006.02.01記
71)【乳児】乳児の慢性嘔吐は母親が右手で抱くようにすると消失することがある。      2006.02.01記

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     【インフルエンザ】

(72)2005年薬物が無効なインフルエンザウイルスが急増している。

まとめ:古くからあるインフルエンザ治療薬のアマンタジンが無効なA香港型インフルエンザウイルスが、2005年国内、国外で急速に広まっている。また、インフルエンザ治療薬タミフルが無効なトリインフルエンザも報告されている。タミフルを新型インフルエンザ治療の中心においている現在の方針は、非常に頼りない。
 インフルエンザ治療薬には、内服薬:アマンタジン(商品名シンメトレルなど)、オセルタミビル(商品名タミフル)、吸入薬:ザナミビル(商品名リレンザ)がある。以前から、アマンタジンが効かない耐性ウイルスは発生しやすいと言われていた。抗ウイルス薬アマンタジンが効きにくいA型インフルエンザウイルス(H3N2型)が、日本国内で急増の兆しがあることを鈴木宏新潟大教授(公衆衛生学)が日米医学協力計画専門家会合(米テキサス州ガルベストンで2006年1月25日)で発表した。
  鈴木教授らが昨年9〜12月に長崎県の患者8人から分離されたH3N2型ウイルスを調べたところ、すべてアマンタジン耐性だった。数は少ないが「通常では考えられない高発生率。他県にも広がっている可能性が高い」と同教授は話す。米国CDCが昨年調べた2004年の耐性ウイルスの割合は、アマンタジンを処方せんなしに買える中国などで約70%と深刻だったが、日本は4%、米国は2%だった。その後、耐性ウイルスが急拡大したとみられる。米国では、2006年のウイルスの91%がアマンタジン耐性で、昨年の11%から激増している。
  耐性ウイルスの出現は、薬の使用頻度が増えると増加すると言われている。しかし、アマンタジンの使用頻度は増えていないにもかかわらず、アマンタジン耐性ウイルスが急増している。この耐性ウイルス拡大の原因は不明である。
 また、アマンタジンのみならず、耐性ウイルスができにくいまたはできても感染力が低下すると言われてきたタミフルについても、タミフルが無効で死亡したトリインフルエンザ患者も報告されている。
【当院の意見】
  新型インフルエンザ対策としてタミフルを備蓄を切り札のように扱っているが、タミフルだけに頼るのは大変心もとない。
参考
 【ワシントン25日共同ニュース】より
2006.02.01記  2006.02.15修正


【乳児】           トピックスの目次  次へ  前へ 

(71)乳児の慢性嘔吐は母親が右手で抱くようにすると消失することがある。

まとめ:乳児の慢性嘔吐は母親が右手で抱くようにすると消失することがある。
 ウェーニックツェル(オーストラリア)のHeimo Waldmann氏によると乳幼児の10%に慢性の嘔吐症がみられる。しかし、右腕で抱けばある程度予防できるという。
 右利きの母親は授乳後に右手で簡単な用事を済ませることができるように、左手で乳児を抱くことが多い。しかし、この場合は乳児が右側に傾斜するために、胃の内容物が右側に移動する。これにより、胃の内容物が食道に逆流しやすくなる。この状態で乳児がおくびをしようとすると嘔吐しやすくなる。 このような場合は右腕で抱くようにすれば、嘔吐が直ちに消失するという。
乳児の身体が左に傾くと胃の入り口が上になるので、嘔吐しにくい。 乳児の身体が右に傾くと胃の入り口が下になるので、嘔吐しやすい。

参考
Medical tribune vol39,No.2 2006.1.12 p1「〜乳児の慢性嘔吐〜母親が右腕で抱くことで消失」より
2006.01.28記  2006.01.28修正