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公開日2006.6.28 更新日2006.8.30  HOMEへ  メニューを隠す 前へ 次へ
これらのツールは、心臓病予防や高脂血症の治療にあたる医師向けに作成されたものです。結果の解釈には十分な医学知識が必要ですので、十分な冠動脈疾患予防の知識を持った医師と相談下さい。ツールの利用により生じたいかなる結果に対しても当院は責任を負えませんのでご了承ください。


2001年米国コレステロール教育プログラムに添付された「冠動脈10年リスク予測ツール」を発症率の演算に使った治療効率評価のプログラムです。10年間に重症冠動脈疾患になる予測値の計算用に、パソコンソフト(表計算アプリケーションのExel sheet)として発表されています(具体的な計算方法はプロテクトされていて不明)。
 このソフトの演算機能を使って、性別、年齢、喫煙、血圧、高血圧治療、総コレステロール値、HDLコレステロール値 から10年間で心筋梗塞・冠動脈死になる確率を求めます。2つの条件下での10年リスクの差から、生活習慣改善または治療による危険因子の変化がどれくらい影響するか、治療効率を計算し、一般的な評価期間である5年間に換算します。単純に冠動脈疾患の危険度を評価するツールは以前に発表しています。こちらもご利用下さい。Microsft表計算ソフト Excelが必要です。ソフトを開くときにでる警告では、マクロを有効にすると印刷ボタンが利用できます。マクロを無効にすると印刷操作が通常の手動となります、他の機能は同じです。 

●1)冠動脈10年リスクから治療効率(NNT)を計算するツール(糖尿病合併時の評価機能拡張版)
通常の機能は完成していますが、現在、入力ミス時のエラー処理を改訂中です。
完成版はNNT-FRS3.0mまたはNNT-FRS3.0wとする予定です。

☆NNT-FRS2.91w.xls: WindowsXP版 (非圧縮276Kbites)   DOWNLOAD  2006.08.30改訂

☆NNT-FRS2.91m.xls: (MACOS9.1用)(非圧縮280Kbites)    DOWNLOAD  2006.08.30改訂
★ATPIIIのオリジナルのExcel sheet 2006.8.28リンク再確認

●利用時の注意
・米国の同一地域集団の長期観察調査Framinghan heart study※がもとになっています。
 (※ボストン郊外にあるフラミンガム地方で、一般住民5000人以上が対象となり、1948年以降現在も続いている有名な疫学研究)
・ 現在、冠動脈疾患、それ以外のアテローム動脈硬化症(末梢血管障害、腹部大動脈瘤、症候性頸動脈疾患)のない人が対象です。
・本来のプラグラムでは、糖尿病合併患者は対象外ですが、ここでは糖尿病も扱えるように工夫し、日本人の資料(2001年日本資質介入試験:J-LIT(1))で糖尿病患者は男性で1.6倍、女性で3倍心筋梗塞・狭心症が増加するという資料を組み合わせました。
・ 10年リスクのカウント対象となる『冠動脈疾患』の範囲には狭心症が含まれず、心筋梗塞と冠動脈死(原文"hard" coronary heart disease outcomes (myocardial infarction and coronary death) in adults who do not have heart disease or diabetes. )になっています。
・商業目的でなければご自由に配布・利用下さい。
・計算にはATPIIIのオリジナルの数式(プログラムプロテクトのため計算式の詳細不明)を使っており、当院は表示された数値を計算してNNT値を求めています。詳細はプログラムの解説をお読み下さい。

【解説】
  このプログラムを利用すると、「冠動脈疾患の発症リスクが、年齢、性別、血圧、HDLコレステロール値、喫煙の有無などの総コレステロール値以外の複数の因子を考慮しないと評価ができない」ことがよくわかります。別の言い方をすれば、「総コレステロール値よりも年齢、性別、血圧、HDLコレステロール値、喫煙習慣の有無の因子のほうが、はるかに重要」ということが見えてきます。具体的には、40、50歳代では総コレステロール値280mg/dlを下げるよりも喫煙習慣をやめるほうが冠動脈疾患の予防という点だけでも効果が大きいことがわかります。ほかにも「同じ総コレステロール値280mg/dLでも男女でそのリスクは大きく異なる」、「喫煙の影響は年齢とともに小さくなる」、「HDLコレステロール値の影響は以外と大きい」など、いろいろ示唆に富むデータを示してくれます。
  逆に、「この資料は『米国白人のデータ』に基づく予測であり、日本人のデータではない」ことの限界も理解してください。 ただし、総コレステロール上昇と虚血性心疾患の相対的な増加曲線が、日米でほぼ重なるなど相対的な変化には人種差が見られません。ですから、このプログラムで得られる相対的な変化は人種差を越えて成り立つ可能性が高いと思われます。日本人と米国人では年齢、性別、喫煙、高血圧、HDLコレステロール、非HDLコレステロール(総コレステロール - HDLコレステロール)の影響の受け方は類似していると考えられています。その影響度の大きさには差があり、日本人の心筋梗塞は米国人の1/4と推測されています。
  冠動脈疾患危険群の患者さんが食事、運動、禁煙などの生活習慣の見直しの発端となり、また医師の高脂血症診療の一助としてこのプログラムを利用していただければ幸いです。
 本来の10年冠動脈リスク評価ツールでは、糖尿病合併時には利用できませんが、日本人での資料で、糖尿病合併時には男性で1.6倍、女性で3.0倍、心筋梗塞・狭心症が増加するとの報告(J-LIT,2001年)があり、これを利用することにより糖尿病患者のリスク評価を行いました。
 入力部分を簡単にするために入力インターフェースでは、Visual Basic for Applicationを利用しました。ソフトを開くときにマクロを有効にしてください。なお、マクロウイルスが混入しないようにこのホームページから直接ダウンロードしたものか、信頼できる筋からのコピーを使ってください。
参考文献 :internet上にonlineで詳しい資料(full paper)が閲覧できます。

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●プログラム作成後記
 このプログラムは、冠動脈10年リスク評価ツールから得られる資料をもとにしています。そのツールがどのような仕組みとデータに成っているかは全くのブラックボックスですが、年齢の影響、喫煙の影響、HDLCの影響、高血圧の影響など分析してゆくと、昨今の発表報告をよく反映しています。このプログラムを使った解析が、かなり信頼できる資料を提供してくれるものと考えます。
高脂血症治療の最終的目標である冠動脈疾患の予防指針としてATPIIIの高脂血症治療指針をみた場合、ATPIIIもまだまだ研究途上です。
作成者:前田敏明(まえだ循環器内科) 2006年8月