トピックス(役立つ医学情報-循環器以外編)】 
公開日2004.10.01 更新日2004.10.04  HOMEへ(メニューを表示)  メニューを隠す  
このページは、当院が興味を惹かれた医学情報(必ずしも最新ではありません)を紹介します。
このホームページの記事はあくまでも参考に留め、治療方針は診療医師と相談して決めてください。
33)【不眠症】働く世代のための快眠10カ条。  2004.10.04記 

    目次へ   次へ  前へ 
                【不眠症】        


(33)働く世代のための快眠10カ条

まとめ:働く世代のための快適な睡眠の知識を、最新の睡眠学や産業衛生学の立場からまとめた。


1)充分かつ快適な睡眠で、仕事のやる気と効率がアップ
・充分かつ快適な睡眠で疲労回復、ストレス解消をはかり、やる気にあふれた毎日を
・充分かつ快適な睡眠が得られないと、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中など生活習慣病のリスクが上昇する
・充分かつ快適な睡眠が得られないと、うつ病など心の病のリスクが上昇する
・充分かつ快適な睡眠は仕事の能率をアップし、交通事故や労働災害のリスクを低下させる

2)睡眠時間は人それぞれ。日中の充足感が快適な睡眠のバロメーター
・人それぞれに適した睡眠時間があり、8時間睡眠にはこだわらない
・眠気がなく、気力の充実した状態で仕事をこなせる時の睡眠時間が、あなたの理想的な睡眠時間
・年齢を重ねると、必要な睡眠の時間は短く、眠りは浅くなるのが一般的
3)朝 - 目覚めとともに体内時計がスタート。快眠の秘訣は起床時間にあり
・毎朝決まった時刻に目覚め、起床後しっかり日光を浴びることが快適な睡眠につながる
・朝、活動を始めた体は、14-16時間後に眠りの準備を始める
・規則正しい朝食習慣は起床前から消化器の働きを活発にし、朝の目覚めを助ける・休日の朝に平日より2時間以上長く床で過こすと、夜の寝付きが悪くなり、憂うつな気分で月曜の朝を迎えることになりかねない
4)昼 - わずかな昼寝が午後の仕事効率を高める
・昼休み、15分程度のわずかな昼寝が午後の眠気を減らし、仕事の効率を上げる
・休日に昼寝をするなら、午後3時までに起きる事。それ以後の昼寝は夜の睡眠の妨げに

5)夜 - 快適な眠りは自らの工夫で創り出す
・就喪4時間前からのコーヒー、紅茶、緑茶などによるカフェイン摂取、また1時間蔚からの喫煙は寝付きを悪くし、眠りの質を低下させる
・睡眠薬がわりの寝酒は厳禁。眠りの質を低下させ、飲酒量の増加にもつながる
・翌朝早起きが必要なとき、眠ろうと意気込んで早々と床に入るのはかえって逆効果(普段の就役時刻の2-4時間前は、もっとも寝付きの悪い時間帯)
・夕方から夜の適度な遷劾賀慣は寝付きを助け、熟睡をもたらす
6)寝る前に - 自分なりのリラックス法を見つける
・就寝前1-2時間のリラックスが快眠の手助けに
・ぬるめの入浴、軽い読書や音楽、香り、ゆったりしたストレッチなど、自分にあったリラックス法を
・自然に眠くなってから寝室に向かう
7)寝室 - 眠りやすい寝室環境も大切
・寝室は事情が許す限り、睡眠以外には使わない
・照明器具やカーテン、窓などの工夫で、静かさと暗さの実現を
・温度と湿度の調節にも配慮して

8)眠れないときの対処 - 眠りは追いかけると逃げてゆく

・人は意志の力で眠りに付くことはできない
・床に入って30分くらいたっても寝付けないときは、いったん床をはなれ、リラックスした気分で眠気が来るのを待つ
・眠りが浅いときは、むしろ遅寝、早起きを試みる。
・床にいる時間を短くすることで、熟睡感が増すことも

9)それでも眠れないあなたに - 早めに医師に相談を

・睡眠の障害は「体や心の病気」のサインのこともある
・激しいいびき、睡眠時無呼吸、足のむずむず感が眠りを妨げていることもある
・寝付けない日が続く、熟睡感がない、朝起きられない、充分限っても日中の眠気が強いときなど、まずは医師に相談を
・医師の指導のもとで使用すれば、現在使われている睡眠薬は安全性が高く、快適な睡眠が確保できる

10)交代勤務の工夫上手な休息と、睡眠時間の確保が大切

・夜勤中は職場の照明を明るめにすると、眠気が減り、仕事の効率が上がる
・夜勤明けの帰宅時、サングラスなどで強い日光を避けると、帰宅後の入眠が容易になる
・夜勤明けの睡眠は、家族の協力を得て、明るさや音に配慮した寝室環境の確保を
・勤務シフトの工夫で、睡眠時間の確保が容易になることもある


■睡眠薬の正しい使い方
1)医師は症状に応じて、最適な睡眠薬を選択します。
◎寝付きが悪い(入眠障害)、夜中にたびたび目覚める(中途覚醒)、目覚まし時計よりも2時間ほども早く目が覚め、以後眠れない(早朝覚醒)、朝目覚めたときに熟眠感が得られない(熟眠障害)など、さまざまな睡眠障害の症状に応じて、最適な睡眠薬が選択されます。
◎睡眠薬はそれぞれ服用してから効果が現れるまでの時間、効果の持続する長さが異なり、これを症状に合わせて選択あるいは組み合わせて使用します。服用に際しては、医師から十分な説明を受けてください。

◎あなたのために医師が選択した睡眠薬は、あなたのためだけの選択です。他人はもちろん親や兄弟でも、睡眠薬をあげたり、もらったりしてはいけません。
2)上手な睡眠薬の活用方法
◎睡眠薬を服用したら、眠気の有無にかかわらず、すみやかに(少なくとも30分以内)床に入ってください。
◎少量から開始し、効果をみながら徐々に適切な鼠に移行させるのが上手な服用開始法。眠れないからといって、自分勝手に量を増やしてはいけません。
◎現在使用されている睡眠薬は、適切に使えば習慣性はほとんどありません。睡眠を妨げていた要因がなくなり、気が付けば睡眠薬を飲むことを忘れて熟睡していた…という状態になれば、自然な睡眠薬の止めどきです。
◎睡眠薬の服用を急に中止すると、副作用が現れることがあります。医師の指導のもとで、徐々に量を減らしていって中止しましょう。

3}睡眠薬の主な副作用

 睡眠薬の服用によって起こりうる主な副作用は次のようなものです。
◎寝起きの悪さや日中のぼんやり感(睡眠薬の効果が起床時や起床後まで持ち越されることにより起こる)
◎ふらつきや脱力感(睡眠薬のもつ筋弛緩作用により起こる)
◎頭重感や倦怠感(睡眠薬の効果が起床後まで持ち越されることにより起こる)睡眠薬の効果が起床時や起床後まで持ち越されることによって起こる副作用は、作用時間の短い睡眠薬を選ぶことで防げます。また、筋弛緩作用により起こる副作用は、筋弛緩作用の弱い睡眠薬を選ぶことで防げます。医師の指導に従い、正しく睡眠薬を使用していれば、『癖になる"頭がぼける』といったことはありません。ただし、アルコールと一緒に服用すると副作用が現れやすくなるので、決してアルコールと一緒に服用しないことが大切です。
主な参考資料:
1) 日経メディカル2004.6 藤沢製薬広告記事より

 作成委員 太田龍朗、永田頌史、内山 真、内村直尚、加藤貴彦、高橋正也
2004.10.04記 2004.10.04校正