【トピックス(役立つ医学情報-循環器以外編No.19)】 
公開日2006.05.26 更新日2006.05.26  HOMEへ(メニューを表示)  メニューを隠す  
このページは、当院が興味を惹かれた医学情報(必ずしも最新ではありません)を紹介します。
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89)【医療制度】診断群分類(DPC)による医療保険制度へ進行中。 2006.05.24記
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   【医療制度】
(89)診断群分類(DPC)による医療保険制度へ進行中。

まとめ:医療費を抑制することは今後高度高齢化社会を迎える日本にとって急務となっている。その対策の一貫として、現在の「医師が必要とした検査、治療の費用をすべてみとめる」(出来高払い制)から、「病名と重症度に応じて、一定額の医療費を支払う」(包括支払い方式)方向に部分的に転換されようとしている。善悪はともかく、今までと全く状況に変化してゆくことは間違いない。
 日本の医療保険制度の支払いは、原則、出来高払い制である。医師が必要であると判断した医療行為は、健康保険の認めた行為であれば、費用を全部認めている。この制度は、適切な診療を保証するという長所がある。一方、必要性に疑問のある検査や薬剤の過剰処方が生ずる可能性があるという短所がある。はっきり言えば、利益優先の医療機関が乱診乱療を引き起こす温床となり、非効率的な医療が蔓延しやすいとも言える。医療保険財政が厳しくなっている今日、良質で効率的な医療が重要となる。そのためには、医療の質とかかるコストの両方を測ることが必要となる。DPCは評価のための標準的な単位である。
 「ある傷病に対してどんな医療行為を行ったのか」という診断名と医療行為の組み合わせによって患者を分類する方法がDPC(診断群分類)である。そして、分類された患者群ごとに支払額を設定する方法が包括支払い方式である。
 ただし、少なくとも現在の所は、診療行為のすべてを包括するわけではない。診療報酬は、いわゆる病院費用部分と医師費用部分からなり、病院費用部分のみがDPCによる包括支払い部分となっている。
 病院費用には病室の利用、検査、薬剤などが包括されている。他方、手術料や麻酔料といった「医師の技術料」に相当する部分は従来通り、出来高払いとなっている。
  包括支払い方式では、在院日数を短縮し、また検査や薬剤についてはできるだけ必要不可欠なものに限定するという動機づけが働く。しかし、医療の質低下を引き起こす危険性がある。したがって、各病院における医療サービスの内容やその結果に関する指標で医療機関を評価する仕組みが必要となる。
 この2006年4月から急性期入院医療でもDPC別包括評価方式の対象施設が拡大された。また、調査対象病院も今後大幅に増加すると予想されている。現在の対象は360病院である。
【参考】ほとんどの内容が引用です。
「DPC(診断群分類)とは何か」産業医科大学公衆衛生学教授 松田晋哉
日本医事新報 2006年(平成18年)5月20日p1
2006.05.24記  2006.05.23修正