■大動脈弁狭窄症(重症)■ 公開日2004.7.21 正常大動脈弁と狭窄大動脈弁 中等症大動脈弁狭窄症 TOPへ 左メニューを隠す | |
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患者さんの状態解説 身長143cm、体重33Kgの80余歳の女性。呼吸器感染により誘発された心不全の既往がある。脳梗塞の既往と高脂血症の合併がある。左第3肋間にやや粗い収縮期雑音(Levine3/6)がある。 2002年●●月 心不全で利尿剤ほかを開始。治療後も足背の浮腫あり。 2003.10月 心不全症状、浮腫なくなる。心不全のコントロール後にBNP153 pg/ml。 ※BNPは心臓から分泌されるホルモンの一種であり、心臓の負担が増すと増加します。血中濃度は心不全の程度や大動脈弁狭窄症の重症度に平行して上昇すると言われています。正常値は約20pg/ml未満です。400 pg/ml以上の心不全は予後不良と言われている。 ●心電図所見 ●心エコー・ドプラー所見 大動脈弁尖は石灰化・癒着が高度で、弁尖の動きが強く制限されている。 わずかながら弁逆流がある。体格を考慮すると左室内腔は普通、左室壁厚はやや厚い。左室壁の動きは、中等度低下している。僧帽弁輪の石灰化も見られる。左室の壁厚が大動脈弁狭窄症の重症度に比例するわけではない。このように長期の心臓の負荷が続くと、ついに左室の動きが低下し、心不全を起こす。 ●計測値 心拍数74/分、整。左室の短径:拡張末期(最大時)40mm、収縮末期(最小時)32mm、左室駆出率42%、左室壁厚:11mmと軽度肥大(正常9-10mm)、左房前後径(最大時):41mm。通過する血流が減少しているため、僧帽弁の開き度合いが低下している。大動脈弁を通過する血流の最高速度は5.8m/ 秒である。これは狭窄部分の圧較差135mmHgに相当する。 |
大動脈弁狭窄症 aortic stenosisの解説 |
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重症の大動脈弁狭窄症のために生じた左室肥大を反映した心電図(V1-V6では、1/2に縮小している。) |
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典型的な左室肥大の心電図です。高電位(V4-V5)がありますが、もっとも特異的なのは右下がりのST低下と陰性T波(I,II, V4-V6)です。中等度の大動脈弁狭窄症とほぼ同じ所見です。 |