■大動脈弁狭窄症(中等症)■ 公開日2004.7.17  正常大動脈弁と狭窄大動脈弁 重症大動脈弁狭窄症  TOPへ  左メニューを隠す
患者さんの状態解説
 身長141cm、体重40Kgの89歳の女性です。大動脈弁狭窄症、心不全、高血圧、甲状腺機能低下症で治療中です。
200×年4月 心不全(下腿浮腫、肺うっ血)で利尿剤ほかを開始。当時の血中 BNP※ 376.5 pg/ml。
3年後の1月 心不全のコントロール後にBNP118 pg/mlまで改善。
※BNPは心臓から分泌されるホルモンの一種であり、心臓の負担が増すと増加します。血中濃度は心不全の程度や大動脈弁狭窄症の重症度に平行して上昇すると言われています。正常値は約20pg/ml未満です。400 pg/ml以上の心不全は予後不良と言われている。

●心電図所見
●心エコー・ドプラー所見

  左室と大動脈との間に、約52mmHg(3年前45mmHg)の圧較差が生じている中等症の大動脈弁狭窄症である。左室内腔はやや狭く、左室壁厚は厚くなっている。いわゆる求心性左室肥大である。収縮期の左室壁の動きは良好である。弁尖は石灰化・癒着が高度である。弁尖の動きが強く制限されている。 わずかながら弁逆流もある。僧帽弁輪の石灰化も見られる。
●計測値
心拍数80/分、整。左室の短径:拡張末期(最大時)34mm、収縮末期(最小時)20mm、左室駆出率74%、左室壁厚:12mmと肥大(正常9-10mm)、左房前後径(最大時):33mm。大動脈弁を通過する血流の最高速度は3.6m/ 秒である。これは狭窄部分の圧較差52mmHgに相当し、中等度の狭窄である。

大動脈弁狭窄症 aortic stenosisの解説
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中等症の大動脈弁狭窄症+高血圧のために生じた求心性左室肥大を反映した心電図
典型的な左室肥大の心電図です。高電位(V4-V5)がありますが、もっとも特異的なのは右下がりのST低下と陰性T波(I,II, V5-V6)です。