■左心室瘤(前壁中隔心筋梗塞の合併症)■(一覧)
-無症状の心筋梗塞で心室瘤を合併- 公開日2003.10.14 更新日2003.10.16 左メニューを隠す TOPへ
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年齢ほぼ90歳ですが、年齢よりずっとしっかりしています。身長143cm 、細身、 小柄な女性。
治療中の主な疾患は、高血圧、甲状腺機能低下症、一過性脳虚血発作。 |
心臓断面の設定
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左室の縦切り断面(左室長軸断面)
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解説
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(1)心筋梗塞になる約4年前の心臓
検査記録中の心拍数は63/分(洞調律)です。高齢者では、心室中隔の上部(大動脈に近い部分)が、わん曲していることがよくあります。左室内腔の大きさは正常で、左室壁全体の動きは良好ですが、左室心尖部前壁の動きがやや低下してました。この部分の心筋障害が疑われましたが、高齢なので運動負荷試験や冠動脈造影は行っていません。狭心症症状はありません。
心腔の大きさの計測値(ほぼ正常)
左室の短径:拡張末期(最大時)42mm,収縮末期(最小時)29mm
左室の動きの指標:左室駆出率58%,左室径短縮率30%
左房前後径:41mm(最大時)
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(2)心筋梗塞になる半年前の心臓
検査記録中の心拍数は60/分(洞調律)です。上と比べて、左室心尖部前壁の動きは正常化しています。ただし、このことが冠動脈硬化の改善を意味するわけではありません。
心腔の大きさの計測値(ほぼ正常)
左室の短径:拡張末期(最大時)41mm,収縮末期(最小時)30mm
左室の動きの指標:左室駆出率 52%,左室径短縮率26%
左房前後径:40mm(最大時)
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(3)心筋梗塞と診断された時の心臓
2ヶ月前の心電図は正常でしたが、この日の心電図は典型的な前壁中隔心筋梗塞の所見でした。いつ梗塞になったか、自覚症状からは分からなかったといいます。当日の血液検査で、急性心筋梗塞の初期に上昇する血清酵素(CPK-MB
= 8U/L ,心室筋ミオシン軽鎖I= 2.4ng/ML)は正常値でした。2ヶ月前から2週間前までの間に心筋梗塞になったものと考えられます。心不全の指標である血液中のBNPは
833.5 pg /ml(正常<約20)と大きく上昇していました。 検査記録中の心拍数は70/分(洞調律)です。左室心尖部に心室瘤が生じています。
心腔の大きさの計測値(左室拡大あり)
左室の短径:拡張末期(最大時)47(心室瘤部分52)mm,収縮末期(最小時)29mm
左室の動きの指標:左室駆出率(算出不可),左室径短縮率38%
左房前後径:39mm(最大時)
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