■左心室瘤(前壁中隔心筋梗塞の合併症)■
-無症状の心筋梗塞で心室瘤を合併(2)-  公開日2003.10.14  更新日2003.11.04  左メニューを隠す TOPへ  
左室の縦切り断面(左室長軸断面)前へ 次へ
解説 一覧へ  4年前  半年前  梗塞と診断された時  

年齢ほぼ90歳、身長143cm 、細身、 小柄な女性。治療中の疾患は、高血圧、甲状腺機能低下症、一過性脳虚血発作。

●心筋梗塞と診断される半年前の状態 
  おもな治療薬は、少量のアスピリン(バイアスピリン)と降圧剤(ノルバスク)です。高齢で労作時の胸痛など、狭心症症状はありません。喫煙が続いています。「90歳まで生きたのだから、いつ死んでも構いません」と禁煙には消極的でした。
  一般に、心筋梗塞になる前の安静時の心電図では、「近い将来心筋梗塞になるかどうか」は、ほとんどの例で予測不可能です。「健診で心電図異常なし」と言われても、喫煙習慣の男性(とくに45歳以上、女性で55歳以上)はいつ心筋梗塞になっても不思議ではありません。

(2)心筋梗塞と診断される半年前の心臓   この時の心電図をみる
 検査記録中の心拍数は60/分(洞調律)です。前回と比べて、左室心尖部前壁の動きは正常化しています。このように、冠動脈疾患による心筋障害による左室壁運動の低下は、範囲が小さい時や軽度の時は、数ヶ月から1-2年経つと改善することがよくあります。ただし、このことが冠動脈硬化の改善を意味するわけではありません。このときの心電図変化は全くないことも少なくありません。
心腔の大きさの計測値(ほぼ正常)
左室の短径:拡張末期(最大時)41mm,収縮末期(最小時)30mm
左室の動きの指標:左室駆出率 52%,左室径短縮率26%
左房前後径:40mm(最大時)

目盛りの間隔は1cm。心拍数は60/分(洞調律)。

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