【新聞・雑誌記事】 公開日2018.03.07 更新日2018.06.20  HOMEへ メニューを隠す   前へ  次へ  掲載記事一覧へ


サンデー山口2018年4月28日号

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今回は急性心筋梗塞※の症状についてお話しします。
  急性心筋梗塞の症状というと、『突然生じる強い胸痛』というイメージがあります。しかし、高齢者においては胸痛があるのは約半分と言われています。実際に高齢者でよく見かける症状は、『胸痛と気分不良(冷や汗など)』『吐き気と上腹部痛』『気分不良』が多いので、医師ですら急性心筋梗塞を見逃すことも少なくありません。特に、吐き気がある場合は胃腸の異常と勘違いされることがしばしばあると聞いています。
 こういった見逃しがないようにするには、1)上腹部が痛い、または吐き気がする、2)冷や汗を伴う気分不良では、まず、心筋梗塞ではないかと疑うことが大切です。とくに、中年以降の男性または60歳以上の女性では確率が高くなります。
 心筋梗塞が完全に否定できたあとで、消化器疾患の診断に移ります。
 急性心筋梗塞ではないかと疑ったら、まず心電図を取ります。ただし、循環器専門医でないと見逃しやすい心電図異常もありますので、心電図の判読には慎重な判断が必要です。心電計に付属した自動診断による急性心筋梗塞の否定では、全く不十分です。血液中の心筋特異的トロポニン検査も役立ちますが、どこの診療所にでもあるわけではありません。心エコー検査ではさらに梗塞の部位、広がりまでわかりますが、できるだけ早く、治療ができる病院に紹介した方がよいので、診断が付いたらすぐに転送することを優先します。

※急性心筋梗塞は、血管が閉塞した早期には、まだ心筋は壊死していない、つまり梗塞にはなっていないので、急性冠症候群と呼ぶことが多くなっています。


サンデー山口2018年2月28日号

2/28記事

 日本動脈硬化学会は冠動脈疾患のリスク評価法を2018年7月に、NIPPON ATA80から『吹田スコア』に変更しました。吹田スコアは、2014年春に国立循環器病センターが発表したもので、大阪吹田市周辺住民の10年間の調査から得られたデータです。冠動脈疾患リスク評価法として、一部には問題批判はあるものの、日本人を対象とした現在利用できる唯一の実用的なツールと考えています。
  日本動脈硬化学会は、吹田スコアを変更修正して、以前のガイドラインとすりあわせています。しかし、修正の根拠は全くなく、無理があります。ここではオリジナルの『吹田スコア』による冠動脈疾患発症リスク評価をお勧めしました。
  その理由は
1)高コレステロール血症治療に携わるほとんどの医師が、「高LDLコレステロール値=高リスク」と単純に考えて、低リスク患者に内服治療を勧める図式ができあがっています。そのために、非常に多くの無駄な処方がなされています。
2)もう一つの理由は、日本動脈硬化学会は製薬会社と癒着し、薬が売れるように低リスク患者を高リスク患者と読み間違えるようなからくりを、そのガイドラインの中にちりばめています。
 当院では、そういった修飾のないオリジナルの吹田スコアを使い、高リスクの人のみに薬物療法を勧め、いたずらに患者さんの不安を煽らないようにしてほしいと願っています。吹田スコアは、国立循環器病センターのサイトに載っていますので、是非読んでください。
 なお、吹田スコアをより簡単に使えるように表計算ソフトを使ったツールを作成し、当院のHPで紹介していますので、試してください(DOENLOADのページ)。