【新聞・雑誌記事】 公開日2019.03.06 更新日2021.12.01  HOMEへ メニューを隠す   前へ  次へ  掲載記事一覧へ


サンデー山口2019年12月28日号

12/28記事

入浴死のヒートショック説は有名ですが、医学会では全く信じられていません。現在、入浴事故現任究明のために調査を行っています。2020年年末のはほぼ完成しますが、コロナ騒ぎのためには発表を延期することにしました。未発表部分が多いので詳細を個々で述べることはできませんが、いろいろな新事実が発見できて、入浴死の原因がかなり解明でいそうです。全体の発表は2021年秋になりそうです。ご期待下さい。

サンデー山口2019年10月30日号

10/30記事

色々な学会から「○○診療ガイドライン」が出ています。しかし、その中にある治療のガイドライン、特に治療薬の選択に関しては、医療として素直にお勧めできないこともあります。高血圧治療ガイドラインでの薬物療法では、薬剤コストが無視されています。米国では同じ薬物効果ならコストパフォーマンスを考慮して安い薬剤を第一選択として推奨しています。学会の運営には製薬会社の経済的協力の影響があるためと考えられます。医師はそのことも考慮して、降圧剤の選択をおこなうべきと考えます。
 このような傾向は高血圧治療に限ったことではありません。高血圧治療ガイドラインはまだいい方です。個人的な見解ではありますが、日本の高コレステロール血症の薬物療法は驚くほどでたらめです。薬物療法の適応基準が、欧米と違って極めて曖昧で、全く必要のない人にまで薬物療法を勧めるような記述となっています。海外に比べて突出して過剰です。人口当たり冠動脈疾患は米国の1/4〜1/3の発生率であるにもかかわらず、人口あたりの高脂血症治療薬の使用頻度は欧米の10倍以上と言われています。かなり前の情報なので、現在はさらに増えているかも知れません。学会や製薬会社にとって都合の悪い資料は隠蔽され、調査もされません。

サンデー山口2019年6月28日号

2/28記事

ある健康番組で、「こむら返り(腓腹筋の痙攣)の原因はいろいろで、お医者さんに相談しましょう」という内容がありました。従来からある一般的見解です。 
  当院の高齢の患者さんにはこむら返りを繰り返すひとが5〜6人はいます。しかし、脱水症、電解質異常が原因と思われる人はほとんどいません。私自身も、2時間テニスをやるとその日の夜に必ずと言っていいほどこむら返りが生じていました。より激しい動きのテニスの後では、太ももの筋肉痙攣も生じていました。腎臓は悪くないので、電解質異常は考えられません。夜間の運動で、水分も十分取っているし、汗をかかない冬期も痙攣は続きました。 
 筋肉痙攣が生じ易い体質だと、あきらめていました。漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は発作時や発作が予見できる時に使っていました。芍薬甘草湯は有効ですが こむら返りを起こしやすいという体質改善はできません。こむら返り対策をしているはずのプロのテニスプレイヤー松岡修造がウィンブルドンで太ももの痙攣を生じ、試合を中断したのは有名です。 プロですら予防できないのなら、簡単で効果的な対策はないのかもしれないとあきらめていました。
 しかし、あるとき気付きました。一種の思考実験です。「マラソン選手が5Km走ってもこむら返りはおこりません。しかし、今の私が5Km走ったらほとんど必ずこむら返りがおこるだろう。元気な高校生でも15Kmマラソンやれば、こむら返りを起こす人が何人かいるだろう」、ならばこむら返りは筋肉が弱いことが一番の要因ではないか
  これを実証するには、筋トレでふくらはぎ筋を鍛えてて効果をみればよい。 
 ふくらはぎ筋は踵をあげて、全身を持ち上げる時に強い負荷がかかる。ウォーキングやランニングではふくらはぎ筋の負荷は少ない。踵をあげる運動をやってみようとやったところ2-3週間で効果がでました。こむら返りは起こらなくなりました。しかし、相対的に他の筋肉が弱いままなので、すねの筋肉(つま先をあげる筋肉)の痙攣や太ももの筋肉の痙攣が起こるようになりました。そこでこれらの筋肉も筋トレしました。するとこれらの筋肉痙攣も起こらなくなりました。よかった!よかった!
 ただし、筋トレを2週間サボったところ、運動した夜に軽度の痙攣が起こりました。反省して今は筋トレを継続しています。なお、このこむら返り対策法は、一応オリジナルです。参考にしたこむらがえりに言及した医学情報は過去にはありませんでした。少なくとも見つかりませんでした。


サンデー山口2019年4月27日号

2/28記事

患者さんの多くは「狭心症の大部分は症状から診断できる」ことをほとんど知りません。症状がない心筋虚血は、検査でないと診断できませんが、胸部症状ががある場合、それが狭心痛なのかどうかは症状の起こり方から大部分が診断できます。専門外の医師の診断は頼りになりませんが、胸痛の問診が上手な循環器医ならかなりの確率で、狭心症とそれ以外の胸痛を問診だけで鑑別できます。詳しく書くと数ページにはなるのでここでは割愛します。
痛みの正常だけでなく、患者背景である年齢、性別、喫煙、糖尿病、高血圧の有無など総合的に冠動脈リスクを考慮します。コレステロール値が高いやCT撮影で冠動脈に石灰化があるかないかだけでの判断よりもはるかに有用です。


サンデー山口2019年2月27日号

2/28記事

「インフルエンザかどうかは、鼻水(インフルエンザ迅速診断法)の検査をすればわかる」「検査が陽性ならインフルエンザ、陰性ならインフルエンザではない」と単純に考える患者さんが多いようです。実際は、インフルエンザかどうか紛らわしい患者さんが多い。インフルエンザ迅速診断法は陽性になれば、ほぼ100%インフルエンザと診断できますが、陰性の時はウイルスがいない場合だけでなく、「一定以上の数に達していない」場合があります。どのようなときに陰性になりやすいかを正しく、理解しないと診断ミスが増えてしまいます。
また、インフルエンザ治療薬の使用は、「使った場合のメリット(利益)とデメリット(不利益)」「使わない場合のメリットとデメリット」を天秤にかけて決めます。欧米では、「インフルエンザは薬を使わなくても、数日で治るので、薬は使わない」ことが多いと聞いています。一方、日本では「薬を使えば、症状の回復が早くなるので、積極的に服薬する」ことが多くなっています。当然ながら、正しい知識をもっていると得することが多くなります。インフルエンザの治療も同様です。