■インフルエンザ脳症ガイドラインの解説■
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公開日2006.01.18 更新日2006.01.18 TOPへ インフルエンザとワクチンの解説へ メニューを隠す
本邦初のインフルエンザ脳症のガイドラインが厚生労働省から発表されたので以前の解説に説明を追加した。
(1)インフルエンザ脳症とは |
(1)初期対応 |
初期対応
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症状
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対応
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●明らかな意識障害あり※1) | 直ちに2次または3次医療機関へ紹介する。 | |
※1)ただし、抗けいれん薬が使われている場合、薬剤による眠気・ふらつきなのか、脳症による意識障害なのかの判断に迷うケースがある。 | ||
●けいれん「複雑型」 けいれんが「15分以上持続する」、または「繰り返す」、または「左右対称でない」 |
2次または3次医療機関へ紹介する。 | |
●けいれん「単純型※2)」 | 異常言動・行動が合併※3) | 異常行動がおおむね1時間以上連続・断続する患者、または異常行動に加えて意識状態が明らかに悪いか悪化する患者は、速やかに2次または3次医療機関へに紹介する。 ※3)病初期に現れる幻視、幻覚、異常な興奮などを指す(表1)。年長児に多く、発熱は必ずしも伴わない。 |
異常言動・行動が合併しない | 単純型の場合、けいれんが治まって意識がはっきりしていれば経過観察していいが、「呼びかけには反応するが、返答があいまいでポーツとしている」など、意識状態の判定が困難な場合は、意識の回復が確認できるまで院内で経過観察※4する。目安として1時間経過しても意識がはっきりしない場合は、搬送する。 | |
※2)単純型とは、(1)持続時間が15分以内、かつ(2).繰り返しのないもの、かつ(3)左右対称のけいれん。(1)(2)(3)を満たすもの | ||
※4)経過観察とは、その時点では脳症のリスクが低いと思われる場合である。その後、神経症状の再燃あるいは新しい症状が出現した場合は、必ず再診するよう指示する。 |
(2)診断指針 |
症状・所見
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治療
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●細菌性髄膜炎などが否定的で、 (1)意識障害(Japan Coma Scale(JCS)で20以上、つまり大きな声または体を揺さぶることにより開眼するレベル)または (2)頭部CTにおけるびまん性低吸収域、局所性低吸収域、脳幹浮腫、皮髄境界不鮮明の所見一のいずれかがある※1)。 |
確定例として特異的治療(ステロイドパルス療法など)を始める。 |
●細菌性髄膜炎などが否定的で、CTで脳浮腫が疑われる。 | 特異的治療の対象とする。 |
上記の所見がない場合 | 入院経過観察とする。 |
ただし、(1)意識障害が増悪する、(1)JCS10(普通の呼びかけで容易に開眼するレベル)以上の意識障害が24時間以上続場合 | 特異的治療を開始する。 |
※1)インフルエンザ脳症の中には、けいれん重積で発症し、当初は軽い神経症状が徐々に悪化、画像上の異常が遅れて出現するタイプがある。このような「けいれん重積型」の患者は全体の1割程度を占め、診断に時間がかかり、死亡例は少ないものの知的障害などの後遺症を残しやすいため、注意が必要だ。 |
(3)治療指針 |
参考
●1)「インフルエンザ脳症ガイドライン」厚生労働省 インフルエンザ脳症研究班2005年11月発表
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/index.html
●2)日経メディカル2006.1月号p26「インフルエンザ脳症に待望のガイドライン」
2006年1月18日記 2006年2月15日修正