公開日 2003.02.01 更新日2003.02.26 |
||
甲状腺の病気に関しては、当院の解説よりも詳しいものが、ネット上でたくさんあります。
そちらも参考にしてください。
01)甲状腺機能低下症とはどんな病気ですか?
02)甲状腺機能低下症の症状と所見は?
03)甲状腺の病気は他の病気と間違われやすいというのは本当ですか?
04)甲状腺低下症の頻度は?
05)甲状腺機能低下症を見つけるいい方法が(検査)がありますか?
06)橋本氏病が疑われる場合に行う検査は?
07)どんな治療方法がありますか?
08)治療薬の副作用は大丈夫ですか?
09)治療中の注意点は?
10)軽症でも治療の必要がありますか?
参考資料
内分泌疾患の拾い上げとマネジメント medicina 2002.8月号
甲状腺疾患 エビデンスに基づいた日常診療 medical practice 2002年2月号
○甲状腺機能低下症の一般検査異常
甲状腺機能低下症は、一般検査の異常から疑われ、見つかることも少なくありません。
「総コレステロール上昇」、「中性脂肪上昇」、「CPK上昇」、「血沈亢進」、「γ-グロブリン上昇」などの血液検査の異常。胸部
レントゲンでの「心拡大(俗にいう心肥大)」、心電図では「徐脈」、「低電位」、「T波平低、T波陰性化」など。
ただし、上記の症状は甲状腺機能低下症に特徴的というわけではなく、他の病気や加齢とともに増える所見です。
また、症状や検査の異常は全例にあるわけではなく、強くでる人と余りでない人があります。特に、高齢者の場合では症状が乏しいことが多いので、少しでも疑われたら、一度TSHを検査したほうがよいでしょう。
○甲状腺機能低下症確認のための検査
ごく軽症の甲状腺機能低下症でも甲状腺刺激ホルモン(TSH)は高値になります。軽症以上の甲状腺低下症では血中甲状腺ホルモン(遊離T3、遊離T4)が低下します。さらに、橋本氏病では抗甲状腺抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)が陽性になります。
2003.2.1記
診療科
|
症状。検査値異常
|
内科全般
|
全身倦怠、無気力、高コレステロール血症、貧血、痴呆 |
神経科
|
筋肉痛、筋力低下、けいれん、声がれ |
精神科
|
無気力、痴呆、うつ状態 |
整形外科
|
筋肉痛、関節痛、 |
耳鼻科
|
難聴、耳鳴り、めまい、声がれ |
皮膚科
|
皮膚乾燥、毛髪脱毛 |
循環器科
|
脈拍数が遅い、心不全、息切れ、胸痛、むくみ、心電図異常、心肥大 |
消化器科
|
食欲低下、便秘、肝臓障害(AST、ALT、LDH、γ-GTP上昇) |
婦人科
|
月経過多、無月経 |
2003.2.1記
2003.2.1記
2003.2.1記
2003.2.1記
○甲状腺機能低下症の治療
1)内服療法−−−不足している甲状腺のホルモン剤を内服します。
普通1日に1〜2錠を飲みますが、ホルモンのバランスを見ながら薬を加減してゆきます。 薬は数カ月から数年の間だけ飲んだら後はいらなくなる人もまれにありますが、多くの場合は一生薬を続けなければなりません。
薬を飲むことは目が悪い人が眼鏡をかけるのと似ています。 眼鏡がないと色々と不都合がでますが、眼鏡さえかけていれば何も問題はありません。 ホルモンのバランスがとれればあとは、3ヶ月から半年おきの血液検査で十分です。
飲み忘れなどが無いように継続して下さい。
2003.2.1記
2003.2.1記
○甲状腺疾患療養のポイント
1)食事は、検査の前などに特別にヨード制限食とすることがありますが、日常の生活では特に制限はありません。
海苔や海産物を好んで多食したり、逆に極端に制限するとかえって病状を悪くすることがあります。
2)処方された薬は副作用が出ない限り、根気よく続けて下さい。
病気の症状も薬をのめば半月から一月で消えてしまいますが、ここで治ったと思って薬をやめないことです。
3)規則正しい生活をして、適度な運動と適度な休養をとってください。
妊娠をきっかけに病気の状態が変わることがよくあります。
妊娠は医師と相談して、治療との時期の良いときに計画できるようして下さい。
2003.2.1記
A:程度にもよりますが、たとえ甲状腺ホルモンが正常範囲でも、TSHが大きく上昇したものは治療した方がよいでしょう。
どれくらいなら薬がいるか決まりはありませんが、TSHが大きく上昇したものは治療した方がよいという専門家の意見があります。
2003.2.1記
A:通常、一生続ける必要があります。
無痛性甲状腺炎では、最初に甲状腺機能亢進症となり、後に甲状腺機能低下症が起こりますが、その後に回復する可能性があります。この場合は薬は不要です。橋本氏病で抗甲状腺抗体価が低くなった場合には、甲状腺ホルモンを中止できる可能性があります。この場合、徐々に甲状腺ホルモンの量を減量してゆき、TSHが上昇しなければ中止できます。こういった方の1/5が、甲状腺ホルモンを数年使った後に中止できることがあります。この場合でも、再発しないかどうか、観察しておく必要があります。
しかし、以上は例外です。ほとんどの甲状腺機能低下症は永続的なものなので、一生甲状腺ホルモンを補充しなければなりません。
2003.2.1記