急性心筋梗塞の治療法(経皮的冠動脈形成術 PTCA)
公開日2003.6.16  更新2004.08.30 左メニューを隠す  HOMEへ
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■経皮的冠動脈形成術(PTCA)■

 手足の血管から管(ガイディングカテーテル)を入れて、その管の中にさらにもう一つの「尖端に風船のついた管」(バルーンカテーテル)を入れて、閉塞した冠動脈の病変部を拡張する治療法を経皮的冠動脈形成術(PTCA)と呼びます。胸部を切開することなく、血管の手術が可能です。急性心筋梗塞だけでなく、狭心症の治療にもよく使われています。

■実際の手技(イラスト)■

1)血管造影(冠動脈造影)で閉塞部がどこにあるか調べます。
2)そこに、柔らかく細い針金(ガイドワイヤー)を挿入し、狭窄部を通過させます。
3)このガイドワイヤーに沿って「風船つきの管」(バルーンカテーテル)を押し進め、狭窄部を通過させます。このときには「風船はまだしぼんだ状態」です。冠動脈の正常な大きさは、およそ3mmくらいです。膨張時の風船の大きさもこれくらいで、長さは約20mmくらいです。
4)狭窄部で風船を拡張し、血栓を破砕し、血管の狭窄を押し広げ、元々の狭窄も少なくします。
5)十分な拡張が得られ、再び狭窄しないことを確認した後にガイドワイヤー抜き終了します。

※風船による治療で拡張が不十分な場合や血管の内側を被う膜(内膜)が解離した場合には、ステント(血管を内側から支える網目状の金属の筒)を狭窄部に留置する治療がよく行われています。
※冠動脈形成術の成功率は90%以上と高いのですが、手術後6ヶ月以内に拡張した部位が再び狭くなる率(再狭窄率)が約30%くらいあるのが欠点です。 冠動脈ステントはこれよりも再狭窄率が低くなります。さらに、2004年から保険適応になったステントは、ある種の薬剤が付着しており、再狭窄がほとんどなくなります。

■急性冠動脈閉塞に対する再潅流療法(さいかんりゅうりょうほう)■

  心臓の動脈が血の塊(血栓:けっせん)により突然閉塞(急性冠動脈閉塞:きゅうせいかんどうみゃくへいそく)すると、その血管から酸素と栄養を供給されていた心筋が危篤状態(心筋虚血:しんきんきょけつ)になります。数時間以内に血液の流れを戻してあげないと(再潅流:さいかんりゅう)、その部分の心筋が死んでしまいます(心筋壞死:しんきんえし)。これが心筋梗塞を呼ばれる病気の起こり方です。
  ですから、出来るだけ早く、血流を戻してあげることが大事なのです(再潅流療法:さいかんりゅうりょうほう)。
最もよく行われる再潅流の手段として、血栓を酵素で溶かす「血栓溶解療法(けっせんようかいりょうほう)」と風船つきの管で血管を拡げる「冠動脈形成術(かんどうみゃくけいせいじゅつ)」または拡げた血管を金属の網の筒で支える「冠動脈ステント留置術」が行われています。ここでは急性心筋梗塞に対する風船による治療をイラスト動画で解説します。