4) 痛風の症状と診断 その3

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【痛風関節炎の鑑別診断】

痛風と間違いやすい代表的な病気あげておきます。痛風と誤りやすい病気はたくさんあります。自己判断せずにきちんと診察を受けましょう。

【外反母趾(がいはんぼし)】
 足の親ゆびの付け根の関節が外側に曲がって、出っ張っている状態です。
 この変形だけでも少し痛みますが、関節を囲む滑液包の炎症が起こると、発赤、疼痛がおこり、痛風発作と類似します。
○母趾基関節内側の限局性の腫脹、○炎症所見は比較的軽度、○女性に多いことを参考に痛風と鑑別します。

【変形性関節炎】
 加齢に伴う骨、軟骨の変性です。歩き始めなどに痛みがでますが、ひどく腫れることはありません。

【蜂窩織炎(ほうかしきえん)】
 皮下に細菌が感染して、皮膚が腫れ上がる病気です。足のゆびの間の「水虫」病変に細菌感染が合併すると前足部の広範な腫れを生じ、しばしば痛風に似ます。○感染巣がある(多くは趾間部)、○広範囲の腫脹で皮膚はやや浅黒く変色、○関節部分を押しても痛くない、などを参考に痛風と鑑別します。

【変形性腰椎症による足の痛みやしびれ】
 足の痛みやしびれがありますが、腰椎の変形に伴う足の症状です。

【偽痛風】
 ピロリン酸カルシウムという結晶が関節炎を起こす病気です。高齢者の膝関節や足首の関節に多くみられます。
男性も女性も同様に起こります。レントゲン写真をとると関節の中に石灰化が見られます。
○高齢者が圧倒的に多い、○膝・足関節などの大関節に好発、○X線写真で特異な石灰化像などを参考に痛風と鑑別します。

【関節リウマチ】
 たくさんの関節が慢性的に痛み、しだいに関節が変形して日常生活が不自由になるつらい病気です。
女性に多く、この点で痛風とは対照的です。

【回帰性リウマチ】
 発作性の単関節炎をきたし再発する原因不明の疾患です。痛風より症状は軽く、2、3日で治りますが、繰り返します。
関節の変形はおこさず、血清尿酸値も正常です。高尿酸血症をもつ中年男性では痛風と鑑別が困難なことがあります。
○1〜2日以内に軽快、○膝・手・手指の関節に多い、○血清尿酸値正常などを参考に痛風と鑑別します。

【そのほか】

骨折や靱帯損傷、足底腱膜炎、扁平足、疲労骨折、爪周囲炎、毛嚢炎、モートン病、踵骨後骨液包炎、疲労骨折、アキレス腱付着部炎

  痛風関節炎の診断上の注意点
1. 痛風発作中の血清尿酸値は低い値を示すことがある。発作中は尿酸値が低いからと言って痛風ではないと言えない。
2. 関節液が得られたら迅速に検鏡し、尿酸塩結晶の有無を同定する。
3. 痛風結節は診断上価値があるが、頻度が低いのであまり診断の役立ことは少ない。


次は【高尿酸血症の病型診断】

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