1) はじめに  

 1960年以前の日本では痛風はごくまれな病気でした。その後の食生活の欧米化、肥満、アルコール摂取量の増加によって痛風は急増しました。痛風は食生活、肥満などの影響が大きく、生活習慣病のひとつです。また痛風の原因となる高尿酸血症は痛風関節炎だけでなく、腎臓障害、尿路結石、心臓血管障害も引き起こします。痛風は発作時だけの治療では不十分なのです。
  日本痛風・核酸代謝学会により、2002年7月に日本で初めて「高尿酸血症または痛風の治療ガイドライン」が発表されました。ここでは、このガイドラインの内容を中心に、患者さん向けの「高尿酸血症・痛風の解説」を行います。私はこの分野の専門家ではありませんが、「痛風を再学習し、自分自身の知識をまとめる」とともに、「専門家と患者さんの橋渡し」となれれば幸いです。

痛風の基礎疾患である高尿酸血症の頻度

男性の高尿酸血症の頻度は、1960年代は約5%、1970年代から1980年代前半が約15%、1980年代後半から1990年代が約20%。以後は約20%とほぼ一定です。 
 女性の痛風は閉経前はまれ(約1%)で、ほとんど閉経後(3〜5%)に起こります。女性では利尿薬の長期投与、腎機能障害などによる痛風がほとんどです。
(グラフ:ガイドラインの資料より作成)

 かつて痛風は50歳代の中高年に多い病気でしたが、最近は30歳代が最も多く、20歳代でもみられるようになりました。現在、全国の推定痛風患者数は約30〜60万人、予備軍である高尿酸血症は、その約10倍と推定されています。では痛風になりやすいのはどんな人でしょうか。

2) 痛風や高尿酸血症はどんな人がなるの?

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