独り言】 
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このページは、医療・医学分野に限らず私が思ったことを記したサイトです。
あくまでもその時の個人的な意見です。また、後に考えが変化することもあります。
【独り言の目次】
【健康食品】「TV番組:あるある大辞典」のデータねつ造に関して。2007.01.22記、2007.01.22修正
 先週のあるある大辞典の内容「納豆にダイエット効果がある」 が、データねつ造であると先週末に大きく報道された。データねつ造は論外だが、健康をテーマにした健康番組、「健康によい」とされる非常に多くの機能食品、サプリメントの多くは(有名のもののほとんど)は、誇大広告か、全く効果が証明されていない。たとえば、2005年までは極めて高い人気商品であった、アガリスクは癌を免疫で治す効果があるかごとく、宣伝されていた。しかし、国立がんセンターの先生が、「がんに効くとされるサプリメントのほとんどすべては、癌に効くとの研究資料は全くといってよいほどない」と新聞に載ってから、アガリスクの広告は2006年ほとんどなくなった。このように一般人には健康によいと勘違いされているが、なにも根拠がないか、信頼できない根拠のサプリメントや健康食品が非常に多い。むしろ、効果が期待できるサプリメントのほうが少ない。
これは私の推測も含めた考えであるが、 具体的な商品でいうと、「青汁」、「黒酢」、「コラーゲン」、「深海鮫の肝油」などは、明らかに無効か、かえって害がある可能性もある。
  「青汁」は葉っぱである。植物繊維が多いのは当たり前。乾燥させているので、「インスタント野菜」といってよいかも知れない。青麦若葉がよいのなら、そこらに生えた雑草とどう違うのか、あなたは雑草を食べてみる気がするだろうか。元来、「葉っぱ」は植物にとっては生命線であり、動物や食べられないように進化した。つまり、動物にとって益にならないように、むしろ毒になるように進化した。一般的に、おいしい野菜は「虫も好んで食べる野菜である」、無農薬で虫が付かない青麦若葉は、この点で昆虫や動物には有害または無益の可能性が高い。便秘が改善したからといって、単純に喜んでよいかどうかは不明である。毒なら下痢になりやすく、便秘によいかもしれない。青麦若葉と雑草の有効性に関する評価に決定的な差がないことを知っておくべきである。
 「黒酢」の主成分は酢酸である。また、天然アミノ酸が多いと自慢する。酢酸はでんぷんなどの糖の消化分解・代謝の過程で産生される。激しい運動中には直接的に添加することも意義があるかもしれないが、日常生活では何の意味もない。健康によいと言うのは嘘である。調味料としての酢は、醤油の使用量を減らし、減塩効果が期待できるので、有益だと思う。しかし、酢酸そのものを健康のためといって、がまんしながら飲むことには意味がないと考える。黒酢はアミノ酸が多いという主張は、全く意味がない。アミノ酸の量自体たかが知れているし、特殊なアミノ酸ではない。タンパク質が分解されれば、すべてアミノ酸となる。アミノ酸は単純な化学物質なので、天然アミノ酸と合成(?)アミノ酸では全く差がない。
「コラーゲン」は動物繊維のタンパク質である。 タンパク質は消化されて、アミノ酸となって吸収される。コラーゲンを食べたからといって、身体のコラーゲンが増えるかどうかは全く根拠がない。恐らく、増えないだろう。「ライオンの肉を食べると勇者になれる。ウサギの肉を食べると臆病者になる」と言ったような、原始的な宗教と何ら変わりない思いこみである。
「深海鮫の肝油」は肝臓の抽出物である。 魚や動物の肝臓には種々のビタミンや栄養分が多い。しかし、なぜ、深海鮫でなければならないのか全く説明がない。普通の魚の肝臓とどう違うのか。商品としてのイメージ的な価値を高めるために、通常入手できない深海鮫を扱っているに過ぎないと思う。もしかしたら、普通の漁に鮫が混じって捕れるために安く入手でき、その処分を考えてのこじつけかもしれない。魚と鮫の肝臓の栄養学的な違いは証明されていない。
 一般にサプリメントや健康食品の効果はきちんと研究、調査されていない。すべてのサプリメントが無効とは思わない。しかし、現在流通しているサプリメントの80-90%は効果がない、または実証されていないと考えて間違いない。一般的な食品の好ましくない影響や薬剤の副作用の頻度から、おそらく、そのうち10%は取りすぎると有害性があるものと思われる。天然だから害がないと安易に考えてはいけない。現在、私がサプリメントとしてお勧めしているのは、変形性膝関節症のひとに勧める「グルコサミン・コンドロイチン」のみである。乳酸菌製剤もアレルギー性疾患によい可能性があると説明している。これらにはまともな医学的学会発表がある。
 健康食品の有効性は十分疑ってかかった方がよい。