慢性腎臓病(CKD)の診療ガイドライン 関連解説 国内での成人のCKD頻度は19%と推定されているが、多くのCKDは自覚症状がないまま腎不全へと進行する。CKDは早期治療で治したり、進行を遅らせたりすることが可能な疾患であるため、早期の診断と治療が重要である。 「慢性腎臓病診療ガイド」では、腎機能の重症度(病期)評価に糸球体濾過量GFRの推定値(eGFR)を重要な指標として用いている。eGFRは血清クレアチニン(Cr)値を基にした推算式(下表)で計算される。そこでこのeGFRを簡単に計算できるようにした。以下の式は2008年3月に修正報告された日本人向けの計算式です。 |
慢性腎臓病CKDのステージと診療計画
|
|||
ステージ
(病期) |
説明
|
推算GFR値
mL/min/1.73m2 |
診療計画
|
0
|
ハイリスク群※1 慢性腎臓病には至っていないがリスクが増大した状態 |
≧90
(CKDのリスクファクターを有する状態で) |
CKDスクリーニングの実施(アルブミン尿など)、CKD危険因子を軽減させる治療。 |
1
|
腎障害は存在するが、GFRは正常または増加 |
≧90
|
上記に加えて、 CKD進展を遅延させる治療、併発疾患の治療、心血管疾患のリスクを軽減する治療 |
2
|
腎障害が存在し、GFR軽度低下 |
60〜89
|
上記に加えて、 慢性腎臓病の進行度の評価 |
3
|
腎障害が存在し、GFR中等度低下 |
30〜59
|
上記に加えて、 CKD合併症を把握し、治療する(高血圧、貧血、続発性上皮小体機能亢進症など) |
4
|
腎障害が存在し、GFR高度低下 |
15〜29
|
上記に加えて、 透析又は移植の準備 |
5
|
腎不全・透析期 |
<15
|
もし尿毒症の症状があれば、透析または移植の導入 |
※透析患者はすべて5Dに分類、移植患者は、各々のステージにTをつけて、T,1T,2T,3T,4T,5Tとする。 | |||
※1●CKDハイリスク群とは
CKD発症のリスクファクターとして、高齢(最も大きな要因だが個人差が大きい)、CKDの家族歴、過去の検診における尿異常(蛋白尿が大事)や腎機能異常および腎形態異常、脂質代謝異常、高尿酸血症、NSAIDsなどの常用薬、急性腎不全の既往、高血圧、耐糖能異常や糖尿病、肥満およびメタボリックシンドローム、膠原病、尿路感染症、尿路結石などがある。CKDハイリスク群では、CKD発症前から高血圧、糖尿病などの治療や生活習慣の改善を行い、CKD発症予防に努めることが重要である。
参考資料:
本サイトの内容は以下から抜粋を少し変更したものです。
1)日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン: http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf
2)日本腎臓学会のサイト:http://www.jsn.or.jp/