【慢性腎臓病の病期(ステージ)評価】
- 糸球体濾過量(GFR)の推定 -
公開日 2007.06.14 修正日 2008.05.10  メニューを表示する  メニューを隠す

  慢性腎臓病(CKD)の診療ガイドライン 関連解説
 国内での成人のCKD頻度は19%と推定されているが、多くのCKDは自覚症状がないまま腎不全へと進行する。CKDは早期治療で治したり、進行を遅らせたりすることが可能な疾患であるため、早期の診断と治療が重要である。
 「慢性腎臓病診療ガイド」では、腎機能の重症度(病期)評価に糸球体濾過量GFRの推定値(eGFR)を重要な指標として用いている。eGFRは血清クレアチニン(Cr)値を基にした推算式(下表)で計算される。そこでこのeGFRを簡単に計算できるようにした。以下の式は2008年3月に修正報告された日本人向けの計算式です。
問:年齢、血液検査の血清クレアチニン値を入力して、下さい。eGFRが計算されます。
(1)年齢 歳  (2) 血清クレアチニン (Cr) mg/dl 
    糸球体濾過量推定値(eGFR)を推算する     

男性なら eGFR= ml/min/1.73m2 、慢性腎臓病の病期分類は「ステージ 」です。
女性なら eGFR= ml/min/1.73m2 、慢性腎臓病の病期分類は「ステージ 」です 。

慢性腎臓病CKDのステージと診療計画
ステージ
(病期)
説明
推算GFR値
mL/min/1.73m2
診療計画
0
ハイリスク群※1
慢性腎臓病には至っていないがリスクが増大した状態
≧90
(CKDのリスクファクターを有する状態で)
CKDスクリーニングの実施(アルブミン尿など)、CKD危険因子を軽減させる治療。
1
腎障害は存在するが、GFRは正常または増加
≧90
上記に加えて、
CKD進展を遅延させる治療、併発疾患の治療、心血管疾患のリスクを軽減する治療
2
腎障害が存在し、GFR軽度低下
60〜89
上記に加えて、
慢性腎臓病の進行度の評価
3
腎障害が存在し、GFR中等度低下
30〜59
上記に加えて、
CKD合併症を把握し、治療する(高血圧、貧血、続発性上皮小体機能亢進症など)
4
腎障害が存在し、GFR高度低下
15〜29
上記に加えて、
透析又は移植の準備
5
腎不全・透析期
<15
もし尿毒症の症状があれば、透析または移植の導入
※透析患者はすべて5Dに分類、移植患者は、各々のステージにTをつけて、T,1T,2T,3T,4T,5Tとする。

※1●CKDハイリスク群とは
 CKD発症のリスクファクターとして、高齢(最も大きな要因だが個人差が大きい)、CKDの家族歴、過去の検診における尿異常(蛋白尿が大事)や腎機能異常および腎形態異常、脂質代謝異常、高尿酸血症、NSAIDsなどの常用薬急性腎不全の既往高血圧耐糖能異常や糖尿病肥満およびメタボリックシンドローム、膠原病、尿路感染症尿路結石などがある。CKDハイリスク群では、CKD発症前から高血圧、糖尿病などの治療や生活習慣の改善を行い、CKD発症予防に努めることが重要である。
参考資料:
本サイトの内容は以下から抜粋を少し変更したものです。
1)日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン: http://www.jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-web.pdf 
2)日本腎臓学会のサイト:http://www.jsn.or.jp/