■リウマチ性僧帽弁狭窄症■  公開日2003.10.27  更新日2003.11.04    TOPへ  

心臓断面の設定
左室の縦切り断面(左室長軸断面)
解説 

(1)左室長軸断面
 検査記録中の心拍数は約60/分(心房細動)。左房がとても大きくなっています。僧帽弁、腱索、乳頭筋がリウマチ病変によって癒着・肥厚、短縮を起こしています。僧帽弁は弁の尖端の癒着により、弁口が狭くなっています。左室の大きさはほぼ正常です。左室の後壁の僧帽弁あたりは、巨大左房のために歪んで曲がっています。
 多くの場合リウマチ性病変は、大動脈弁にもあることが少なくありません。この症例では、大動脈弁の癒着や肥厚はありません。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)49mm,収縮末期(最小時)35mm
左室の動きの指標:左室駆出率55%,左室径短縮率28%
左房前後径:72mm(最大時)

(2)僧帽弁の弁口レベルの左室短軸断面
  正常の僧帽弁口面積は5cm2くらいあります。この患者さんは、リウマチ熱という病気のために、何十年もかかって、弁の端や牽引する紐状組織(腱索)が癒着または肥厚し、弁口面積が狭くなっています。僧帽弁が開いた時の弁口の形は、「魚の口」の様な形をしています。弁口が狭くなると血液が流れにくくなるために、その上流となる左房が大きくなります。また、左室に十分な血液を送るのに必要な時間が長くなります。左室は拡張期に楕円形に変形しています。
 弁口面積が1.0cm2以下になると重症です。

(3)機械弁置換術後の左室長軸断面
 検査記録中の心拍数は63/分(心房細動)。僧帽弁は機械弁(二葉弁)に置換されています。腱索や乳頭筋の一部も切除されています。二葉弁は大動脈弁と同じタイプを使いますが、大動脈弁置換に使う物よりも大きいサイズを使います。左室の動きは術前よりも改善しています。とても大きかった左房は手術で、縮小手術を行ったために術前72mm、術後62mmと小さくなっています。
心腔の大きさの計測値
左室の短径:拡張末期(最大時)43mm,収縮末期(最小時)26mm
左室の動きの指標:左室駆出率71%,左室径短縮率39%
左房前後径:62mm(最大時)
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