■心房中隔欠損症+三尖弁閉鎖不全症+心房細動■ 公開日2007.2.08 修正日2007.2.08 正常の心房中隔  左メニューを隠す TOPへ
切断面(心臓正面像)
切断面(心臓左側面像)
解説
 初老期の男性。心房細動、重症三尖弁閉鎖不全、心房中隔欠損症と診断された。心拍数64/分、不整。
●心エコー・ドプラー所見
 前額断面や左室長軸断面ではわかりにくいが、左室短軸断面では左室に比べて、右室の拡大が著しいことがわかる。左室内腔は、拡張期に心室中隔が左室側へ偏位して、左室内腔は高度に変形している。この変形は収縮期には減少している。軽度の僧帽弁逆流の割に、左房は高度に拡張している。
  右房と左房との仕切である心房中隔の中央に直径約20mmの欠損孔(心房中隔欠損)が観測される(左図)。心エコー検査と同時に、血流シグナルを観測できるパルス・ドップラー検査では、この欠損孔をとして、拡張期に左房から右房に向かう血流(シャント血流)が見られる。逆に収縮期の一部ではわずかながら右房から左房に向かう逆シャントも観測される。
  収縮期の全体に及ぶ高度の三尖弁逆流シグナルを右房内に認める。一部右房から左房への逆シャントもみられ、右心系の血栓や注射などによる空気でも脳梗塞の原因となりうる。
前額断面
前額断面(拡張期)
前額断面(収縮期)
右房と左房の仕切である心房中隔のほぼ中央で、約20mmの丸い欠損孔が見られる。 拡張期に左房から右房へ向かう短絡(シャント)血流が見られる。 収縮期には右室から右房に向かう高度の三尖弁逆流が見られる

心臓断面の設定

右は正面からみた心臓での切断面の設定を示す。 各々をクリックするとその断面像の動画がみれる。

前額断面(4腔断面)
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心房中隔欠損+三尖弁閉鎖不全+心房細動の心電図
脳梗塞(脳塞栓)の原因となる心房細動がある。左室高電位(V5-V6)があり、左室肥大も考えられる心電図。心房中隔欠損症による右室拡張によって生じるとされる右脚ブロックがある。しかし、(完全)右脚ブロックはごくありふれた異常であり、この心電図だけから心房中隔欠損症を予想するのは困難。