急性冠動脈閉塞の起こり方
公開日2003.6.16  更新2004.8.30 左メニューを隠す  HOMEへ
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■急性冠症候群(ACS:Acute Coronary Syndrome)とは■

急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)は、心臓の筋肉へ血液をおくる「冠動脈(かんどうみゃく)※」が閉塞することにより生じます。
 以前は、急性心筋梗塞は動脈硬化によって血管が徐々に狭くなり、最終的に閉塞するために起こると考えられていました。ところが、1990年代の前半になると大部分の急性心筋梗塞は軽度のプラークを被う表面の膜(内膜)が破れ、血管壁の脂質プラーク成分が血液に触れることにより、血管内に血液の塊「血栓(けっせん)」ができることが「急性冠動脈閉塞」の主な原因と分かりました。一部には血管組織の損傷が浅く破綻に至らない、「びらん」から血栓ができることもあります。また、冠動脈壁にある平滑筋の痙攣から血栓形成へと進展することがあることも確認されています。
 また、狭心症が頻繁に起こるようになる「不安定狭心症」は完全閉塞にまで至らないまでも血栓が大きくなったり、溶けて小さくなったりすることによる不完全な閉塞によることも分かってきました。
 心臓突然死のかなりの部分も血栓の形成による血管閉塞が原因と考えられています。

 このように、冠動脈の「プラーク(粥腫:じゅくしゅ)※の破綻」とそれにより生じる「血栓形成 」を原因として起こる病気を「急性冠症候群(ACS:Acute Coronary Syndrome)」と呼びます。従来の急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死を病気の発生機序からひとまとめにした病気の呼び方です。病気の原因が同じなので治療方法が共通した部分が多く、治療する上で大事な概念です。

【冠動脈】
  冠(かんむり):はラテン語の「花冠」coronaからきています。心臓をぐるりと囲む様に走行する動脈という意味でしょう。

【プラーク】=粥腫(じゅくしゅ)
 酸化変質した脂質(コレステロール)と増殖した繊維組織や平滑筋細胞からなる。表面の内膜が薄いと破れやすい。

■この血栓をどうやって治療するのか■

 ●血栓を溶かす薬(血栓溶解療法)●風船が付いた管で、血栓を押し砕き、血管を拡張する治療(冠動脈形成術)、さらに再度狭窄が生じないように●金属の枠で押し広げる方法(冠動脈ステント留置術)などが代表的です。