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【医療】口腔内崩壊錠(OD錠)は本当に使いやすいか 2007.05.18記 2007.09.28修正
 最近は新しい作用機序の新薬の開発が少なくなり、2剤を合わせた合剤や水なしで内服可能な口腔内崩壊錠(OD錠)化しただけの薬が増えてきた。新薬の開発には多大の費用と時間がかかり、大手製薬メーカーですら簡単に画期的な薬剤の開発はできない。新薬が困難ならばと安易な合剤の開発、OD錠への変更などが進んでいるようだ。
  合剤そのものには私も賛成である。なぜなら、私自身が高血圧治療薬として、複数の薬剤を併用することが多いからである。単一薬剤を増量すよりも、作用機序を考慮した降圧剤の併用によって副作用の軽減とともに降圧効果や心血管保護作用の相加的、相乗的効果が期待できる。
 たとえばカルシウム拮抗剤+利尿剤、ACE阻害薬+利尿剤、ARB+利尿剤 、カルシウム拮抗剤+β遮断薬などは私もよく使う。ただし、製薬メーカーが商品化する合剤は当然、自社の利益追求のためなので、私が気に入った製剤の組み合わせにはならないという不満もある。
 ところで「水なしでも飲めます」 という謳い文句のOD錠が増えている。薬理作用自体は変化がない。製薬販売促進担当のMRの説明に同調して、今までの錠剤から安易にOD錠に処方変更している医師も多い。この様な医師に対して、まず自分でOD錠を服用してみてその使い勝手を確かめてほしい。私はOD錠を使うことをやめた。理由は以下の通りである。
 1)OD錠はもろく、口に入れる前に崩れやすい。
 2)OD錠は口腔内で溶けるので、内服直後の舌のざらざら感や違和感があり、洗い流すための水がほしくなる。
 3)OD錠は都会で通勤中でも内服できる点で優れているが、山口のような田舎では水の入手は簡単である。
 4)高齢者では内服薬の種類が多く、 すべての薬がOD錠でなければ、OD錠の長所は生きてこない。また、すべての薬剤がOD錠化しても、たくさんの薬剤が口腔内で溶解すると考えただけで、口の中の違和感でたちまち水が必要になる。
 処方する医師には、MRの説明を鵜呑みにすることなく、自分自身でその有用性を確認してほしい。私自身は湿布や塗り薬、睡眠薬、痛み止め、感冒薬、胃薬、花粉症の薬など、少しでも自分で薬効を確認できる薬剤は試すことにしている。