独り言】 
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あくまでもその時の個人的な意見です。また、後に考えが変化することもあります。
【独り言の目次】
【医療】日本の医師数は不足している。2007.03.05記、2007.03.05修正
  10年以上前に比べると、医療の「質」、「安全性」、「十分な説明などの患者サービス」と医療への要求は非常に高くなった。その一方で、「医療費を安くする」ことが国政から強く要求されている。しかし、これらの「医療の安全性と充実」と「安い医療費」とは、むしろ相反するものであることをわかってほしい。技術が進歩すると「安くてよい品」を提供できるが、医療産業は人件費の占める割合は高く、この点で物造りとは大きく異なる。ITによる合理化で、この点も改善できると一部の人がいっているが、現場の医師でそう発言している人を知らない。IT化によって、コンピューター入力などの医療事務の仕事は、事務員ではなく、医師が行うことになり、医師の事務的な仕事は増えた。患者や家族の病状説明の要求度も高くなり、多くの時間が必要となった。
  「患者様」という呼称も患者さん側の権利意識を高めたようだ。十分に納得のいく説明を行うことは大変重要で、あるべき姿である。しかし、日本の医療は、医療費を安くするために、世界的に見て最低限の少数の医師で、多くの患者を診ることによって成り立っている。いくら説明に時間を使っても医療報酬は増えず、医療経営面では成り立たない。いままでは医師の献身家的な奉仕でなんとかやっていた。患者さんや家族に感謝されることもやりがいとなっていた。 しかし、最近は、無理な権利要求する患者やその家族が増加し、医師の奉仕精神も失せている。ヒラリー夫人は、「日本の医師は聖職者か」とコメントしている。また、韓国の病院長は、「韓国では、このような過酷な条件で医師がよく働くことはないので、日本の院長は助かっている」などとのコメントがある。
  以下は日本医事新報 No.4321(2007年2月17日)からの引用のまとめである。
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日医「医師の絶対数は不十分」
 日本医師会は、1996年と2004年の医師数などの
医療提供体制や総医療費支出(国民医療費に介護保険サービス質、健康・予防に関わる費用、管理コスト等を加えたもの)についてOECD加盟国間で比較し、「医療提供体制の国際比較」を発表した。それによると、日本の人ロ1,000人当たり医師数は、1人当たりGDPが平均以上の国の中で最下位であった。
1人当たりGDP平均以上国の中で最下位
 1人当たりGDPと人ロ1,000人当たり医師数(2004年)について国際比較した(図)。日本の医師数(2.0人)は、1人当たりGDPが平均以上の国の中で最下位である。高齢化率と人ロ1,000人当たり医師数の変化を見ても、もともと医師数が平均以上だったフランス、ドイツは高齢化に伴い医師数がさらに増加、高齢化率にほとんど変化がない米国、英国でも増えているのに対し、日本は高齢化率の著しい進展にもかかわらず微増(1996年1.8人↓2004年2.0人)に留まっている。
  このほか、
1)日本の対GDP比総医療費支出は、1996年は29カ国中21位、2004年は30カ国中21位と依然として低い位置にある、
2) 日本の1床当たり総医療費支出は、1人当たりGDPが低いグループに属する国々とほぼ同レベルーなどの実態が判明した。
 日本医師会では、この結果について「日本の経済力から見ると医師数は非常に少ないと医師数の増加を要求するという。

日本医事新報 No.4321(2007年2月17日)より


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