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あくまでもその時の個人的な意見です。また、後に考えが変化することもあります。


【医療】「電子カルテは日本では普及しない」とIBM社の医療分野コンサルティング部門トップは言う。
 
2007.05.22記 2007.06.14修正
 日経メディカル2007.5月号の記事で、「電子カルテの普及は日本では容易ではない」とIBM医療分野のコンサルティング部門トップは言った。2005年10月時点での電子カルテの普及率は病院21.1%、診療所7.6%である。米国では導入が急速に進んでいるが、日本では医療費が低いために導入が困難だという。
  「入力事務が増加し、時間的にゆとりのない日本の医師の負担が大きすぎる」、「カルテの記載方法が統一されていない状況での電子化は不可能」というのがその理由だ。

 私の意見も同じだ。電子化は入力後の事務処理が簡単で便利だ。 しかし、電子化の労力、費用をすべて医療側、とくに医師に負担させるのは明らかに現状無視と言える。日本では、安価な診療費で多数の患者をみる診療状況にある。患者への説明義務や注意義務は飛躍的に医師の負担を増やしている。時間的なゆとりのない医師、特に勤務医は現状維持でさえできなくなっている。これ以上負担を増やすゆとりは今の勤務医にはない。
 開業医である私の場合はどうかというと、電子カルテは医療機器業界の都合で運営されているので費用は高く、使い勝手が極めて悪い。Windows OSがなかったころのパソコン事情に似ている。Operating systemはメーカーごとに異なり、applicationの互換性がないため不便であった。それでもapplicationの自由度が高いために自分用の使い方ができて、便利な部分もあった。
 現在のパソコンの文書作成では、ワープロソフトを使って自由なレイアウトができる。ところが電子カルテではワープロのような書式の自由度がない。紙のカルテは、診療科目ごとに個々の診療スタイルにあわせて、多彩な書式のカルテが使われている。これがたった一つの電子カルテの書式になると不便きわまりない。
 いままで電子カルテをいくつかみたが、年間100万円を逆にもらうとしても使用を拒否するほど不便な代物である。つまり、「私の診療スタイル」に合わせることができないのである。
 そのため、わたしは自分でデータベースソフトを操り、約2年かかって自分流の電子化をおこなった。これは大変便利である。
  厚生労働省が電子カルテを無理に導入させようとすれば、医療の現場はさらに混乱すると思う。

参考
日経メディカル2007.5月号 米国人の見た日本のIT事情:「電子カルテは普及しない」と指摘する根拠