【過活動性膀胱の症状質問票】
Overactive bladder
-過活動性膀胱診療ガイドラインから-
公開日 2007.02.10 更新日 2007.02.10  メニューを表示する  メニューを隠す

【過活動性膀胱症状に関する質問票)】
当てはまる項目をチェックしてください。 ※()内は点数
質問1 質問1: 朝起きたときから寝るときまでに、何回くらい尿をしましたか
7回以下(0点) 8〜14回(1点) 15回以上(2点)  
質問2 夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか
0回(0点) 1回(1点) 2回(2点) 3回以上(3点)      
質問3 急に尿がしたくなり、がまんが難しいことがありましたか
なし(0点)      週に1回より少ない(1点)   週に1回以上(2点)
1日1回くらい(3点) 1日2〜4回(4点)      1日5回以上(5点)   
質問4 急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらすことがありましたか
なし(0点)      週に1回より少ない(1点)   週に1回以上(2点)
1日1回くらい(3点) 1日2〜4回(4点)      1日5回以上(5点)  


合計点と評価
●合計点  0点 〜 5点 ●  軽症
●合計点  6点 〜 11点 ●  中等症

●合計点 12点 〜 15点●  重症

【過活動性膀胱の症状】
過活動性膀胱または腹圧性尿失禁の症状
(1)頻尿
トイレが近い。トイレに行く回数は、日中で5〜7回、寝ている間は0回が正常である。日中8回以上トイレに行き、夜間も1回以上おしっこのために起きるなら、「(夜間)頻尿」である。
(2)切迫性尿失禁
急に尿がしたくなり、トイレががまんできず、尿がもれてしまうことがある。
(3)尿意切迫感
突然、がまんができないような尿意をもよおすことがある。それまで何でもなかったのに、突然トイレに行きたくなり、がまんすることが難しい症状を「尿意切迫感 」というす。
(4)腹圧性尿失禁
くしゃみや咳をした時、重い物をもった時、坂道を下った時などに尿が漏れることがある。
上記の尿のトラブルは、泌尿器の感染症、癌、心因性、服用している薬の副作用でも生じる。
よくある尿トラブルの原因
膀胱の異常 膀胱結石、膀胱癌、間質性膀胱炎
膀胱周辺の異常 子宮内膜に似た組織が子宮の内側以外の場所にできる子宮内膜症
感染症 尿道から細菌がはいっておこる膀胱炎、尿道炎
心因性 精神的な問題が原因で頻尿や尿意切迫感が起きることもある。
薬が原因 降圧剤や心臓病の薬の中には、尿量が増える作用の薬がある。
【過活動性膀胱とは】
 膀胱が勝手に収縮したり、過敏な働きをするために尿トラブルを起こす病気である。
過活動性膀胱の年齢別頻度:本間之夫ら:日本排尿機能学会誌:14(2):266,2003
40歳以上の女性の10人に1人、男性では7人に1人が、過活動性膀胱の症状を経験している。このうち切迫性尿失禁のある人は約半数であった。
過活動性膀胱の診断の条件は、1日8回以上の頻尿または、週1回以上の尿意切迫感がある人。

【腹圧性尿失禁とは】
 骨盤底筋のトラブルで尿道をうまく締めれなくなり尿漏れを起こす病気である。
40歳以上の女性の8人に1人に腹圧性尿失禁の症状がある。出産を経験した女性の多くみられる。
【原因は】
 (A)神経系のトラブル:脳卒中や脊髄損傷の後遺症で、脳から膀胱の筋肉へ向かう神経の回路に障害が起きた場合。
 (B)骨盤底筋のトラブル:出産や加齢とともに、子宮、膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなった場合。
 (C) それ以外 :何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働く場合や、原因が特定できない場合も多い。

【腹圧性尿失禁のメカニズムは】
骨盤底筋の力が弱い場合
骨盤底筋の力が強い場合
 お腹に強い力(腹圧)がかかっても、膀胱と尿道を支えるハンモック状の組織を、骨盤底筋という筋肉によってバランスよく操ることによって尿道が締まり、尿が漏れるのを防いでいる。腹圧性尿失禁の原因は、骨盤底筋や膀胱・尿道を支えるハンモック状組織が弱くなったり、損傷して、膀胱や尿道が不安定になることが主な原因である。加齢、出産、女性ホルモンの低下が関連している。
【治療】
 過活動性膀胱は膀胱の過敏な収縮を押さえる抗コリン薬による治療が主流である。また、腹圧性尿失禁は骨盤底筋体操が主流である。 過活動性膀胱または腹圧性尿失禁の一部では、電気刺激法による治療も行われる。腹圧性尿失禁の一部では、尿道をつり上げる手術(尿道ストリング手術)をすることもある。また、コラーゲン注入により尿道の筋肉を強くする方法などもある。
○自分でできる訓練
 
膀胱訓練、骨盤底筋体操

【膀胱訓練とは】
 排尿したくなっても、がまんする訓練です。 最初は5分くらいから初めて、少しずつ時間を延ばしていく。

【骨盤底筋体操とは】
  仰向けに寝て、膝を立てて、両脚を軽く広げた姿勢をとる。
この姿勢で、腟と肛門をギュッと締めたり、弛めたりする。
○日常生活で注意すること

【膀胱訓練とは】
 早め目にトイレに行く。水分の取りすぎ(特に就寝前)ないようにする。身体、とくに下半身は冷やさないようにする。便意しないようにする。肥満は是正する。アルコールやカフェインを含んだ飲み物(コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶など、特に就寝前)は控える。

【参考】
 解説と表は、筑波大学泌尿器科と関西医科大学泌尿器科のホームページを参考にした。
男性の老化症状に関する質問票(Japanese version of the AMS Questionnaire)
筑波大学泌尿器科、 http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/clinical-med/urology/adam.htm
関西医科大学泌尿器科 http://www3.kmu.ac.jp/urology/kanjya/sinryou/tokushoku6.html