【腰部脊柱管狭窄症の自己診断】
公開日2003.10.08 更新日2003.10.12
メニューを表示する メニューを隠す
腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツール(案) 腰の骨の主な病気に,腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の二つがあります。腰部脊柱管狭窄症は別名変形性脊椎症とも呼ばれている高齢者に多い病気です。腰部脊柱管狭窄症では腰の骨や靭帯が厚くなり、骨や靱帯のトンネルを通る神経が圧迫されて、坐骨神経痛に加えて間欠性跛行と呼ばれる症状が発生する疾病です。なお、診断サポートツール(案)は、この病気の疑いがあるかどうかを判定する問診表です。診断基準ではありません。また、正式な発表は2006年の発表となっています。 |
【腰部脊柱管狭窄症(変形性脊椎症)の解説】
脊柱(背骨)には、脳から脊髄という神経の束が通る穴があります。これを脊柱管と呼んでいます。脊柱管の壁は骨や靱帯でできています。腰部脊柱管狭窄症は生まれつきのものはまれで、おもに加齢による骨の変形や靱帯の肥厚などにより、脊柱管が狭くなり、脊髄を圧迫するためにおこります。2005年現在、この疾病の診断基準はなく、疾病自体もあまりよく知られていません。日本脊髄病学会は、2003年7月に「腰部脊柱管狭窄症の診断基準とQOL評価に関する研究班」を立ち上げ、「診断サポートツール」の開発を始め、2005年秋に素案を提示しましたので、これをこのサイトで公開しました。正式版診断サポートツールの発表2006年の予定です。
診断サポートツールは、この病気の疑いがあるかどうかを判定する問診表です。診断基準ではありませんので、点数が高くても診断が確定したわけではありません。たとえば、11点では、診断感度が約83%ですが、これは「11点以上を陽性とすると、腰部脊柱管狭窄症の83%が正しく診断され、17%が見落とされてしまう」ということ示します。確定診断にはMRI検査などを必要とします。
症状が似ているために最も鑑別を要する疾患は「閉塞性動脈硬化症」です。これは、高血圧、喫煙、糖尿病などが危険因子となって、下肢への動脈の動脈硬化がおこり、血管が詰まって、血流が減少したために起こる病気です。
腰部脊柱管狭窄症の治療には日常生活の改善、症状が軽い場合は運動療法(腹筋や背筋を鍛える。腸腰筋やハムストリング筋のストレッチを行う。)、物理療法、装具療法、薬物療法(鎮痛剤、神経の栄養血管の血流障害を改善する経口プロスタグランディン製剤)がありますが、半年経っても効果がない場合には手術を考慮することもあります。
歩いて出る症状は手術によって速やかに消失しますが、安静時にもある症状、とくに足底のしびれや便秘は軽快しにくい。手術後5-7年後には症状が徐々に悪化する可能性があります。
生活改善
「歩行を制限する」、「歩行時には少し前屈みで歩く」、「自転車ならどこまでも行ける人がいる」、「長い距離は2-3度に分けて歩く」、「腰を反る姿勢をとらない」、「仰向けで寝て、下肢にしびれを感じる場合は、横向けで少し丸くなって寝る」、「仰向けにならずに横向きで少し腰を曲げる」、「仰向けでないと寝られない人は膝下に枕を入れて膝を曲げて就寝する」、「下肢のしびれや痛みが急激に悪化した時期には安静にする」など
判定基準値と感度、特異度
|
||
正常値の基準 カットオフ値 |
感度
|
特異度
|
10点以上 |
91.4%
|
56.23%
|
11点以上 |
82.8%
|
67.87%
|
12点以上 |
70.97%
|
97.87%
|
参考資料
●Medical tribune2005.9.22号 p34-35 腰部脊柱管狭窄症 診断サポートツール 開発の理念と展望は?
●日本医事新報 2004.9.11号 腰部脊柱管狭窄症の発症予防、北大整形外科 伊藤学、須藤英毅