『J-LITチャート(1)』による 高脂血症治療効率(NNT)一覧表
一次予防(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症など動脈硬化性疾患がないひとが対象)

  2006.9.8公開  2006.12.15修正
 
合併症の有無
標準治療(目標LDLC140mg/dl)
1)
合併症なし
男性
女性
2)
高血圧症あり
男性
女性
3)
糖尿病あり
男性
女性
4)
高血圧症+糖尿病あり
男性
女性

 J-LITチャートには、すでに心筋梗塞や狭心症になった患者さんを対象にした『J-LITチャート(2)』と動脈硬化性合併症のない者を対象とした『J-LITチャート(1)』がある。ここでは『J-LITチャート(1)』を使った解析である。
 対象者全員が高脂血症治療薬のリポバスを内服している。それにもかかわらず、LDLコレステロール値が180〜200mg/dlと高いのは、この中に薬剤では十分にLDLコレステロール値が低下しない家族性高脂血症が多く含まれるためと考えられる。逆に、ここでの解析一覧表には載っていないLDLコレステロール値が100〜140mg/dlの人の中には家族性高脂血症が少ないと予想される。
 こういった特殊性を考慮しながら、 J-LITチャート(1)の治療効率一覧表(NNT解析一覧表 )をみてほしい。
  とくに、家族性高脂血症の影響が低い一般住民の資料であるFramingham heart studyをもとにしたATPIIIで発表された『冠動脈10年リスク評価ツール』での解析結果と比べるとその違いが一層はっきりする。
 結論から言えば、『J-LITチャート(1)』は家族性高脂血症と非家族性高脂血症の混合資料であり、LDLコレステロール値が高いところでは、家族性高脂血症が多く、LDLコレステロール値が低いところでは、家族性高脂血症ではなく、普通の高脂血症が多いと考えられる。よって『J-LITチャート(1)』によるNNT評価は、一般の高コレステロール血症患者にも、家族性高脂血症にも適応してはならないと考える。
 ではなぜこの一覧表を発表したかというと、ATPIIIから求めたNNT値と比較することにより、J-LITの問題点がはっきりしたからである。