■陳旧性心筋梗塞(比較的広い前壁中隔心筋梗塞)■ 公開日03.08.24   更新日03.08.26  もっと他の断面へ 左メニューを隠す TOPへ 
左室の縦切り断面(左室長軸断面)
解説
 
左図は梗塞の範囲から「前壁中隔心筋梗塞」と呼ばれています。
 新しい心筋梗塞を「急性心筋梗塞」、古い心筋梗塞を「陳旧性心筋梗塞」と呼んでいます。両者の境界は、発症後1ヶ月 ぐらいを目安とします。

 慢性期の心筋梗塞の重症度は1)梗塞の大きさ、2)心筋梗塞合併症、3)左室の再構築の有無などが影響します。

●1)梗塞の範囲は左室長軸断面だけでは、判断できません。左室の短軸断面での広がりを評価する必要があります。


●2)心筋梗塞の合併症として、心臓が破れたり、心臓の隔壁に裂け目ができて、通常起こりえない血液の流れが生じたり、僧帽弁閉鎖不全症が起こったり、梗塞部位に血栓が付いたりすることがあります。

●3)心筋梗塞の範囲が大きかったり、急性期の安静が不十分であったときは、左室の拡大や心室瘤ができやすくなり、左室の大きさや形が変わります。これを「左室の再構築」remodelingと言います。左室の再構築が生じると、左室の負担が大きくなり、心筋梗塞の予後は悪化します。

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この症例は、左の冠動脈の2本の枝のうち、前下行枝の根本が詰まったために生じた比較的広い心筋梗塞です。左室の前の壁と心室中隔の前2/3、左室心尖部が障害を受けています。

 急性期の治療で再還流障害が生じて、やや広い梗塞が残ってしまいました。しかし、短軸断面でみると、梗塞の広がりは、再還流療法を行わない時に、生じる心筋障害の範囲に比べると小さくなっています。心尖部も心室瘤になっていません。
目盛りの間隔は1cm。心拍数は60/分(洞調律)。

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