■ 断層心エコー検査 ■
正常な左室の心筋壁の動き(左室長軸断面図) 公開日2003. 02.10
■ほぼ正常の左室壁運動(経皮的冠動脈拡張術後)■
断層心エコー図(胸骨左縁からの左室長軸断面)

左室は拡張(拡張期)した後に,心筋の収縮により左室内腔が小さくなり,大動脈から全身へと血液を駆出します(収縮期).断層心エコー図では左室の正常心筋壁は「まだら模様の約10mmの厚み」として描出されます(矢印↑=心室中隔壁,↓=左室後壁).解説文字が現れる画像の左辺にある1目盛りが10mmです.

・心室中隔と左室後壁の動き(収縮期)
正常では心室中隔(右室を左室の境にある心筋壁)は収縮期に後方へ動きます.
一方,後壁は収縮期に前方へ動きます.また,心筋の収縮により,心筋壁の厚さが増加します.
もし,心筋の収縮が障害されると,収縮期の心筋の動きが減少し,心筋壁厚の増加がなくなります.
  少し専門的になりますが,壁運動低下と壁厚増加率の低下は必ずしも一致しません.
狭い範囲の心筋障害の場合は周囲の心筋の収縮によって,障害された部位の心筋壁も引っ張られるため正常な動きになる場合があるからです.ただし,この場合でも収縮期の壁厚増加率は低下しています.

・心尖部の動き
 心尖部内腔は収縮期に狭くなり,とがってきます.心尖部をよく観察するには断層面を少し変えて調べます.この断面では心尖部全体は観察できていません.

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(左室の収縮が始まる直前に画面上の解説あり).
1)正常な左室壁の動き
2)弁膜症(僧帽弁逆流)
3)心筋梗塞(前壁中隔)の左室壁の動き:その1
  心筋梗塞(前壁中隔)の左室壁の動き:その2 :その1と同じ症例です.
 
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