■■ 閉塞性動脈硬化症で左足の動脈が急性閉塞した症例 ■■
公開日 2004.03.27 更新日 2005.04.10  左メニューを隠す   HOMEへ

【症例のプロフィール】
 症例は62歳の男性。糖尿病と高血圧の合併がある。14年前に心筋梗塞になったことがあります。一時は禁煙していたが、再び喫煙するようになっていた。受診前日の夕食後に急に左足に力が入らなくなり、歩行不能となり来院。来院時は左足の甲の動脈の拍動を触れず、右足の甲の動脈の拍動も弱い。当日、総合病院に紹介入院となる。左側の写真は治療前の血管造影である。右足への動脈は認められるが、左足への動脈は造影されない。つまり、左足の動脈の本幹が完全に閉塞している。血管内で風船を膨らませて、血栓を血管外へ引きずり出した結果(血栓除去術)、右の写真のように左側の血管も造影されるようになった。以後、患者さんは禁煙を守っている。
  下の血管造影は、腹部大動脈が左右の脚への動脈(腸骨動脈)に分岐する部分での動脈造影です。
- 資料提供 済生会山口総合病院 -
- 資料提供 済生会山口総合病院 -


 閉塞性動脈硬化症は、腹部大動脈および下肢動脈の動脈硬化のために、足の動脈の狭窄や閉塞を生じる病気です。血液の流れが悪くなるため、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。さらに進行すると、安静時にも症状が現れます。重症では、歩行が困難になり、放置しておくと足先が壊死(えし=組織の一部が死んだ状態)を起こし、下肢切断に至ることもあります。
また、閉塞性動脈硬化症は同様に動脈硬化からおこる、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳梗塞などの脳血管障害を合併することが多い病気です。進行性の病気で、糖尿病、喫煙、高血圧、高脂血症などがこの病気の進行を早めます。 足の動脈の閉塞を起こす疾患としては、閉塞性動脈硬化症以外には、20〜40歳代の青壮年の喫煙男子に好発するBuerger病(ビュルガー病、バージャー病、閉塞性血栓血管炎とも呼ぶ)もあります。ともに喫煙の影響が極めて大きいので、再発予防には禁煙がとても大切です
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