大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁逆流)■ aortic insufficiency (aortic regurgitation:AR)
 公開日2008.2.8  更新日2008.2.8  左メニューを隠す TOPへ  

加齢に伴う大動脈弁の劣化(退行性変化、動脈硬化)による弁尖の変形によると思われる大動脈弁閉鎖不全症です。
心臓断面の設定
解説 作成中です。
 70歳代後半の男性、基礎疾患に高血圧があります。初診時血圧148/62mmHg(高血圧治療中)、検査記録中の心拍数は69/分(洞調律)です。
 3つの弁尖からなる大動脈弁の一部に肥厚や可動域制限があり、弁逆流が生じています(逆流を赤、黄、青のモザイクで示す)。また、僧帽弁輪石灰化も見られます。大動脈弁狭窄症、僧帽弁逆流はありません。
 初診時の心エコー・ドップラー検査では、高度の左室の拡大がありました。約2年間の治療後には、左室拡大が著明に改善し、壁運動もやや改善、左房径も縮小しました。ここで公開した動画は、治療後の心機能がやや改善したあとの資料を元に作製しています。
(1)左室長軸断面
心腔の大きさの計測値
初診時

 心拍数:67/分、洞調律。
 左室の短径:拡張末期(最大時)68mm、収縮末期(最小時)45mm
 左室の動きの指標:左室駆出率61%、左室径短縮率33%
 左房前後径:46mm(最大時)
 左室壁厚:11mm 
治療薬変更2年後 (拡大した動画を見る)
 心拍数:69/分、洞調律:変化なし
 左室の短径:拡張末期(最大時)48mm、収縮末期(最小時)30mm:サイズ大幅に縮小
 左室の動きの指標:左室駆出率67%、左室径短縮率37%:壁運動改善
 左房前後径:35mm(最大時):サイズ縮小
 左室壁厚:10mm :正常値に近づく

左室の縦切り断面
(左室長軸断面)
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1970年頃までは心臓弁膜症と言えば、小児期に発症したリウマチ熱が原因となるリウマチ性弁膜症が多かった。リウマチ熱では、10年〜20年かけて徐々に弁やその周囲の組織の癒着と変形変形が生じ、弁口が狭くなったり(弁狭窄)、完全に閉鎖しない(閉鎖不全)、またその両者の合併がおこる。しかし、現在はリウマチ性弁膜症は日本では滅多にみられなくなりました。小児期の栄養状態の改善などの影響と考えられています。
 それに変わって、増えたのが、高齢化に伴う退行性変化による弁膜症です。弁の動脈硬化症みたいなものと考えてもよいでしょう。
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