【新聞・雑誌記事】 公開日2004.11.21 更新日2004.11.21 HOMEへ メニューを隠す
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講演タイトル 「高齢者に多い心臓病」
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心筋梗塞以外で多い痛みの部位 | 心筋梗塞で多い痛みの部位 | |
冠動脈の狭窄や閉塞により、心筋への血流が減少し、心筋が弱るか、心筋が部分的に死ぬ。 ●症状 狭心症では運動時や食後の胸部圧迫感が多い。急性心筋梗塞は、胸部圧迫感だけでなく、みぞおちが痛い、吐き気なども少なくない。高齢者では半数が胸痛がないので、急に気分が悪くなったら、急性心筋梗塞も疑う。 |
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●対策 ・狭心症:一般内科医では誤診が多いので、循環器専門医にみてもらう。 ・急性心筋梗塞:冠動脈の閉塞から3時間以内ならかなり回復する。心臓カテーテル治療ができる基幹病院でできるだけ早く治療を開始する。 ・古い心筋梗塞:再発しやすい病気なので、再発を増やす「危険因子」を減らすように努める。大きな障害があれば、心不全の治療も必要。 ・発作は気候の変わり目に多い。貼り薬は再発予防に効果はない。コレステロールの低下療法だけでは、十分な再発予防はできない。 |
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左房内血栓
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高齢者の5%以上が心房細動になり、治療が必要な不整脈の中で最も多い。時々発作的におこる発作性心房細動と持続している慢性心房細動がある。どちらも同じ程度に脳梗塞になりやすい。脳梗塞の1/3は心房細動による。症状はない場合も多い。プロ野球の長嶋選手がこの病気のために脳梗塞になった。重症脳梗塞が多い。一度脳梗塞になると再発が非常に多い。 ●症状 発作性では脈が飛ぶ、動悸がする、脈が速いなどがある。慢性では脳梗塞になるまで、無症状が多い。大小の脳梗塞を繰り返すので、痴呆症も増える。 ●対策 ・生活の改善や薬で発作を予防するか、脈拍数を減らす薬を飲む。 ・脳梗塞予防には、今のところワーファリンが最も頼りになる治療で、脳梗塞の頻度を1/3にまで減らす。 ・弁膜症などの他の心臓病を合併していることも多いので、一度は必ず循環器専門医にみてもらう。 |
心臓には4つの弁があり、それぞれ違った特徴の弁膜症となる。リウマチ性が多かったが、現在激減した。弁がよく開かない狭窄症とよく閉じない閉鎖不全症がある。最終的には心不全となる。 ●症状 軽症では、自覚症状が少ない。進行すると、脈拍不整(心房細動)、息切れ、動悸、浮腫などの心不全症状が出てくる。心不全は進行性、呼吸器感染で急激に心不全が悪化することが多い。 ●対策 ・利尿剤で症状を取り、心筋保護する薬で心不全の進行を抑制する。 ・重症例では人工弁に置き換える手術を行う、 |
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肥大型心筋症は、心筋の一部が異常に厚くなる病気で、経過は良い場合も悪い場合もある。拡張型心筋症は、心臓が拡大して、心筋の動きが悪くなる病気で、徐々に心不全が進行することが多い。 ●症状 自覚症状がないことも多い。脈拍不整(心房細動)、息切れ、動悸、浮腫などの心不全症状が出てくると経過が悪い。 ●対策 ・心不全がある場合は利尿剤と心筋保護する薬を使う。心房細動を合併した場合は、脳梗塞が高率となるので、予防薬を使う。ともに、循環器専門医に治療してもらった方がよい。、 |
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心不全とは、心臓が弱って、十分な働きができなくなった状態です。どんな心臓病でも、最終的には心不全になることが多い。高血圧も未治療だと将来心不全になりやすい。
●症状 加齢のためと思いこみ、中等症まで自覚症状がないこともある。息切れ、動悸、浮腫などが心不全症状だが、風邪などの呼吸器感染で急速に心不全が悪化することが多い。 ●対策 ・心不全がある場合は利尿剤と心筋保護する薬を使う。心不全は、専門の医師に治療してもらう。この10年で心不全の検査や治療方法が進歩し、治療成積が随分改善した。 |