日常生活チェックリスト
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あるものにチェックしてください。 |
スコア
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【解説】
臨床医に役立つ易転倒性発見のための転倒スコア
鳥羽研二他(吉林大学医学部:高齢医学)、日医雑誌第137巻・第11号/平成21(2009)年2月より引用
転倒スコア(陽性なら1点として合計点を求める) 1)過去1年の転倒 2)つまずくことがある 3)手すりにつかまらずに、階段の昇り降りができない 4)歩く速度が遅くなってきた 5)横断歩道を信号が青のうちに渡りきれない 6)1kmくらい続けて歩けない 7)片足で5秒くらい立てない 8)杖を使っている 9)タオルを固く絞れない 10)めまい、ふらつきがある 11)背中が丸くなってきた 12)膝が痛む 13)目が見にくい 14)耳が聞こえにくい 15)物忘れが気になる 16)転ばないかと不安になる 17)毎日お薬を5種類以上飲んでいる 18)家の中で歩くとき暗く感ずる 19)廊下,居間,玄関に障害物 20)家の中に段差がある 21)階段を使わなくてはならない 22)生活上、家の近くの急な坂道を歩く |
大腿骨頸部骨折の90%以上が転倒によって生じており、転倒・骨折は、高齢者の寝たきり原因の第3位となっている。そのため、転倒予防は寝たきり予防にきわめて重要である。ここでは、転倒ハイリスク者を早期に発見するための簡単な評価方法を紹介する。
「転倒スコア」は、平成14年度厚生労働科学研究費補助金効果的医療技術の確立推進臨床研究事業転倒骨折班の合同討議で完成した。
転倒は危険因子は複数ある。「筋力低下」、「バランス欠如」、「歩行障害」、「移動障害」、「ADL障害※」は危険因子であったが、「視力障害」、「認知機能障害」は半数の研究では危険因子として有意でなかったという。転倒者と非転倒者を比較すると、転倒スコアのほとんどの項目に有意差があったが、段差、階段、坂道に有意差はなかった。「転倒といえばバリアフリー」という短絡的な反応が間違っていることがわかった。
従来の転倒の危険評価表の開発は、主として介護施設や病院で行われている。しかし、転倒の大部分は家庭内で、過半数は居間などの室内で起きている。
今回多変量解析で抽出された簡易式の「転倒スコア」の項目は、筋力低下(歩行速度遅延)、骨粗鬆症(円背)、筋力低下と骨粗鬆症および転倒不安(杖の使用)、多病(5種類以上の服薬)であった。「転倒チェック」の合計点を用い、観察期間中の転倒予測の有用性を検討したところ、カットオフポイント6/7点において、感度68%、特異度71%の実用性に足る成績が得られた。
転倒危険者を抽出する検査を考える場合、環境要因の問診表と下肢筋力検査(歩行速度、片足立ち時間)などに時間を費やすより、「転倒スコア」を活用することが簡易で、有用であることが示唆された。
※ADLとは、日常生活動作(Activities of Daily Living)の略で、食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作のこと
参考資料
日医雑誌第137巻・第11号p2271-2279/平成21年2月 鳥羽研二、菊池令子、岩田安希子、神崎恒一(吉林大学医学部教授:高齢医学)