【関節リウマチ発症予測スコア】 作成中
 「診断未確定関節炎:UA」から「関節リウマチ:RA」発症予測ツール(ライデン大学2008年)
公開日 2009.10.05 更新日2009.10.05 メニューを表示する  メニューを隠す


関節炎症状が出現したが、検査しても確定診断できない関節炎を「診断未確定関節炎」と(undifferenciated arthritis:UA)と呼びます。関節炎が出現した初期のUA症例は、1年後に30〜50%が関節リウマチと確定診断されます。残りは自然寛解、UAのまま、他の疾患と診断されています。 
 ここで取り上げているのは、「関節症状が出現して間もない初期の段階で、検査しても特定の疾患と確定診断できない関節炎が、将来、関節破壊を起こす関節リウマチになるかどうかを予測する」方法です。 確定診断できなくても確率が高ければ、治療開始が推奨されています。
チェックリスト ()内は評価ポイント
1:年齢 年齢を入力してください 歳 (年齢×0.02点)
2:性別 男性(0点) 女性 (1点)
3:罹患関節
手・足の小関節
いいえ(0点) はい(0.5点)
左右対称性
いいえ(0点) はい(0.5点)
上肢関節のみ
いいえ(0点) はい(1点)
上・下肢関節
いいえ(0点) はい(1.5点)
4:朝のこわばり
30分未満(0点)
30〜59分(0.5点) 60分以上(1点)
5:疼痛関節痛
4個未満(0点)
4〜10個(0.5点) 11個以上(1点)
6:腫脹関節痛
4個未満(0点)
4〜10個(0.5点) 11個以上(1点)
7:CRP 0.5.mg/dl 未満(0点) 0.5〜5.mg/dl (0.5点) 5.1〜mg/dl (1.5点)
8:リウマトイド因子 陰性(0点) 陽性(1点)
9:抗CCP抗体 陰性(0点) 陽性(2点)
関節リウマチ発症予測スコア( ライデン大学)は 点です。
「判定」ボタンを1〜2度クリックしてください。
8点以上は、将来関節リウマチに移行する可能性が高く、早期から積極的に治療することが推奨されています。  

【解説】
【関節リウマチにはなぜ早期診断が必要なのか

 関節リウマチ(旧名:慢性関節リウマチ)は関節の破壊が進行する病気です。詳しい原因は未だに不明です。また関節リウマチの診断は、現在も決定的なものがなく、通常、米国リウマチ学会の診断基準(1987年発表)に沿って確定診断がなされます。
  関節リウマチは完全に治すことが極めて困難な病気です。治療の理想は、発症阻止、発症しても寛解、できれば治癒をめざします。多くの場合、一時的な小康状態(寛解)や関節の機能障害・変形が起こらないことを目標としています。これらの治療効果を達成するために重要なことは、できるだけ早い時期に治療を開始することです。関節破壊は、関節炎が出現して間もない早い時期ほど速く進行します。治療開始が早いほど有利です。一旦、関節破壊が進み、関節の変形が生じると治療しても元通りにはなりません。

 最近は、従来の薬とは全く違う新しいリウマチ治療薬(生物学的製剤)が出てきました。この薬を関節リウマチの早期から投与すると、関節破壊の進行を阻止あるいは修復するすることができます。しかし、進行した関節リウマチ症例では効果が劣ります。早い時期ほど効果が高いので、特に超早期症例では、寛解率が高く、うまくいけば「薬剤なしの寛解」が達成できることがあります。
 効果的な治療の機会を逃すことなく、早い時期に治療を開始することがよい臨床経過を生み、機能障害を少なくすることができるのです。
予測スコア8点以上のUA症例は将来関節リウマチに移行する確率が高いので、早期から積極的に治療することが推奨されています。

【なぜ早期に関節リウマチ診断予測基準が必要なのか】
 できるだけ早期に治療を開始すると治療経過が良いことはすでに説明しました。つまり、「関節リウマチが確定してから治療開始する」よりも「関節リウマチの可能性が高い時期から治療開始する」方が勝っているのです。
 「関節リウマチの早期発症予測(ライデン大学)」は「早期関節リウマチの診断法」ではありません。早期関節リウマチは、確定診断されてから、2〜3年以内の関節リウマチのことです。ここでは、その前の段階の関節リウマチに近い将来なりやすいかどうかの予測を行っています。臨床的には、「関節リウマチ診断予測基準」は早期治療開始基準と考えることができます。

参考資料
1)van der Helm-Mil AH,et al:Arthitis Rheum 58:2241-2247,2008
2)いきなり名医!「関節リウマチは治せる時代に」 (p17-21:●Q4 関節リウマチはなぜ早期診断が必要か) 川合眞一編 ,日本医事新報社 Japan Medical Journal 03,2009.8.25発行
公開日 2009.10.05 更新日2009.11.04